ギリシア語文法 形容詞(Adjective)

◆目次



名詞を形容する語を形容詞(Adjective)といいます。

形容詞も名詞と同じく語尾変化によって性・数・格を表します。
形容詞は、形容する名詞と性・数・格を同一にしなければなりません。

形容詞には三つの用法があります。
「属格的用法」、「述語的用法」、「名詞的用法」の三つです。
これらは、冠詞と名詞と形容詞の“位置”によって区別できます。


◆属格的用法(attributive use)


形容詞のすぐ前に冠詞が置かれるとき、属格的位置(attributive positon)にあるといい、その形容詞は語順にかかわらず属格的用法になります。

ὁ καλός ποιμήν ホ カロス ポイメーン 「善い羊飼い」
ποιμήν ὁ καλός ポイメーン ホ カロス 「善い羊飼い」
ὁ ποιμήν ὁ καλός ホ ポイメーン ホ カロス 「善い羊飼い」

どれも同じ意味になります。


◆述語的用法(predicative use)


形容詞のすぐ前に冠詞が置かれてなく、名詞にだけ冠詞が置かれている場合、述語的位置(predicative positon)にあるといい、その形容詞は語順にかかわらず述語的用法になります。

καλός ὁ ποιμήν カロス ホ ポイメーン 「その羊飼いは善い」
ὁ ποιμήν καλός ホ ポイメーン カロス 「その羊飼いは善い」

どちらも同じ意味になります。

καλός ποιμήν カロス ポイメーン
ποιμήν καλός ポイメーン カロス

但し、上記のように、形容詞にも名詞にも冠詞がついていない場合は、属格的用法なのか述語的用法なのか曖昧なので、文脈から理解するしかありません。


◆名詞的用法(sustrantive use)


形容詞に冠詞を付けると名詞になります。もっと厳密に言うと、形容詞のすぐ前に冠詞が置かれる属格的用法では、形容詞を名詞として用いることができます。

ὁ καλός ホ カロス 「善人」

ただ、その形容詞の性によって、名詞の意味の性質が変わります。
中性形は抽象名詞になります。

ὁ καλός ホ カロス 男性形→善人(男)
ἡ καλή ヘ カレー 女性形→善人(女)
τό καλόν ト カロン 中性形→善なるもの(抽象名詞)

冠詞が省略されて形容詞のみで名詞として用いられることもあります。

καλός カロス 「善人」

◆形容詞の変化


形容詞は名詞の「第1、第2、第3変化」が組み合わさって変化します。
そして「不規則変化」もあります。

◇第1・第2変化形容詞

女性形が名詞の第1変化、男性・中性形は名詞の第2変化するものです。名詞でも、女性名詞は第1変化が多いですし、男性・中性名詞は第2変化が多いですので、そのまま当てはめることができます。
第1変化には「-α型」と「-η型」がありますから、女性単数形はそのどちらかに変化します。

単数 複数
男性 女性 中性 男性 女性 中性
主格 -ος -η,-α -ον 主格 -οι -αι
属格 -ου -ης,-ας -ου 属格 -ων -ων -ων
与格 -η,-α 与格 -οις -αις -οις
対格 -ον -ην,-αν -ον 対格 -ους -ας
呼格 -η,-α -ον 呼格 -οι -αι

また、男性・女性形が同じ変化をする「2語尾型」もあります。

単数 複数
男女性 中性 男女性 中性
主格 -ος -ον 主格 -οι
属格 -ου 属格 -ων
与格 与格 -οις
対格 -ον 対格 -ους
呼格 -ον 呼格 -οι

◇第1・第3変化形容詞

女性形が第1変化、男性・中性形が第3変化するものです。

◇第3変化形容詞

  • 男性形・女性形が-ων、中性形が-ονの型
  • 男性形・女性形が-ης、中性形が-εςの型

◇不規則変化形容詞



最終更新:2017年06月11日 02:09