秋華賞(G1)


主催者

日本中央競馬会

競馬場

京都競馬場

創設

1996年10月20日

距離

芝・内2000m

格付け

GI

賞金

1着賞金8900万円、賞金総額1億6890万円

出走条件

サラブレッド系3歳牝馬(国際)(指定)

負担重量

馬齢(55kg)


秋華賞(しゅうかしょう)は日本中央競馬会(JRA)が京都競馬場の芝内回り2000mで施行する中央競馬の重賞(GI)競走である。


概要

1996年に牝馬三冠の最終戦として行われていたエリザベス女王杯が4歳以上の牝馬にも出走資格が与えられたのに伴い、新たな牝馬三冠の最終戦として創設された3歳(旧4歳)の牝馬限定の重賞(GI)競走。競走名決定前の仮称は「ヴィーナスカップ」だった[要出典]。「秋華」とは、中国の詩人である杜甫や張衡が「あきのはな」として詩のなかで用いた言葉であるという。
牝馬三冠のうち春季に施行されている桜花賞や優駿牝馬(オークス)と異なりイギリス競馬のクラシック競走に範を取った競走ではないため、クラシック競走には位置づけられていない。また創設時から混合競走(外国産馬の出走も可能)のため外国産馬が多数出走し1996年のファビラスラフイン、2002年のファインモーションが外国産馬として優勝している。2010年より本馬場入場の際の曲が変更された。
現在の優勝レイは黄色の地に金色文字となっている。負担重量は馬齢重量で55kgである。

出走資格


サラ系3歳(旧4歳)、JRA所属の牝馬の競走馬(外国産馬含む)及び地方所属の牝馬の競走馬(本競走への優先出走権を獲得した牝馬及びJRAのGI競走1着馬)及び外国調教馬の牝馬(9頭まで)、出走枠は18頭まで。未出走馬・未勝利馬は出走できない。
以下のトライアル競走に必要な着順に入った場合優先出走できる(最大5頭)。
トライアル競走
競走名 格付 施行競馬場 施行距離 競走条件 優先出走権
  • 紫苑ステークス OP 日本の旗中山競馬場 芝2000m 指定競走 2着以内
  • ローズステークス GII 日本の旗阪神競馬場 芝・外1800m 国際競走 3着以内
残りの枠(最低13頭)は通常の収得賞金の総計が多い順に出走できる(残る1枠が複数の同収得金額馬だった場合は抽選で出走馬が決まる)。
地方馬は、上記のトライアル競走2競走で優先出走権を得た馬と桜花賞・優駿牝馬(オークス)優勝馬が優先出走できるほか、春のクラシック競走(牡牝混合のものも含む)およびNHKマイルカップの2着以内馬も出走できる。

賞金

回(施行年) 総額賞金 1着 2着 3着 4着 5着
第1回(1996年) 1億6,890万円 8,900万円 3,600万円 2,200万円 1,300万円 890万円
第2回(1997年)
第3回(1998年)
第4回(1999年)
第5回(2000年)
第6回(2001年)
第7回(2002年)
第8回(2003年)
第9回(2004年)
第10回(2005年)
第11回(2006年)
第12回(2007年)
第13回(2008年)
第14回(2009年)
第15回(2010年)
第16回(2011年)
第17回(2012年)
第18回(2013年)
第19回(2014年)

施行コースと問題点

1996年に新設されて以降、京都競馬場の芝内回り2000mコースで施行され発走は観戦スタンド前となっている(前身である秋の3歳牝馬GIの旧エリザベス女王杯は芝外回り2400mコース)。
このコースの形態は発走後の最初の第1コーナーまでが308mと出走可能頭数(フルゲート)が18頭となるコースとしては距離が短く、前後に隊列が伸びきる前に第1コーナーを迎えやすいため外枠からの発走となる馬は距離損により位置取りが馬群の後部になりやすい。
また、向正面の直線の半ばから第3コーナーにかけて3mの上り坂があり、坂を下った後はスパイラルカーブを採用していない小回りの第4コーナーを経て、ゴールまでのホームストレッチ(最後の直線)は328mと比較的短い[注 1]。そのため多くの馬は下り坂で加速しながらラストスパートを仕掛け、最後の第4コーナーは馬群一団となって殺到するため、発走で前めの位置を取れた馬以外は勝つためには危険を冒して馬群を突き抜けるか、前がばらけるまで待つか、距離損を覚悟で馬群を避けて後方から大きく回りこむかといった厳しい選択をさせられやすい。
これらの要因から、強豪馬であってもしばしば逆転しきれない状況が生まれやすい波乱の多いレースとなっている。差し馬不利のコースである他、未成熟な馬に負担が大きいとして競馬ブック[2]などからは施行コースの見直しの提案が出ている。

歴史

1996年 - 4歳(現3歳)の牝馬の競走馬による定量の混合競走・指定交流競走の重賞(GI)競走として「第1回秋華賞」が創設され、京都競馬場・芝内回り2000mで施行された。
2001年 - 馬齢表示の国際基準への変更に伴い、出走条件が「4歳牝馬」から「3歳牝馬」に変更。
2003年負担重量を「定量」から「馬齢重量」に変更。
2007年国際セリ名簿基準委員会(ICSC)の勧告により、重賞格付け表記をJpnIに変更。安藤勝己が地方競馬出身の騎手として史上初の優勝。
2008年 - 1着にブラックエンブレム(11番人気)、2着にムードインディゴ(8番人気)、3着にプロヴィナージュ(16番人気)が入り三連単の払戻金がJRAの重賞競走で最高額(重賞以外を含めても3位)の10,982,020円(109,820.2倍、4,896通り中4,275番人気)を記録し重賞競走では史上初の8桁配当となった。また、三連複の払戻金がJRAの重賞競走で最高額(全体でも5位)の1,869,680円(18,696.8倍、816通り中750番人気)を記録した。
2009年混合競走から国際競走に変更され、外国調教馬は9頭まで出走可能となる。それに伴い、重賞格付け表記をGIに戻す。
牝馬二冠馬のブエナビスタが2位入線したものの他馬の進路を妨害したことにより、3着に降着。
2010年 - アパパネが史上3頭目の牝馬三冠を達成(阪神ジュベナイルフィリーズを含めば、史上初の牝馬四冠達成)。
2012年 - ジェンティルドンナが史上4頭目の牝馬三冠を達成。生産牧場ノーザンファームの馬が1着から3着までを占める(ジェンティルドンナ・ヴィルシーナ・アロマティコ)。
2013年 - 武豊・幸四郎兄弟が日本競馬史上初となるGI競走での日本人兄弟騎手によるワンツーフィニッシュを達成(1着メイショウマンボ=武幸四郎・2着スマートレイアー=武豊)。

歴代優勝馬

回数 施行日 競馬場 距離 優勝馬 性齢 タイム 優勝騎手 管理調教師 馬主
第1回 1996年10月20日 京都 2000m ファビラスラフイン 牝3 1:58.1 松永幹夫 長浜博之 吉田和子
第2回 1997年10月19日 京都 2000m メジロドーベル 牝3 2:00.1 吉田豊 大久保洋吉 メジロ商事(株)
第3回 1998年10月25日 京都 2000m ファレノプシス 牝3 2:02.4 武豊 浜田光正 (有)ノースヒルズマネジメント
第4回 1999年10月24日 京都 2000m ブゼンキャンドル 牝3 1:59.3 安田康彦 松田博資 上田牧場
第5回 2000年10月15日 京都 2000m ティコティコタック 牝3 1:59.9 武幸四郎 松田正弘 バンブー牧場
第6回 2001年10月14日 京都 2000m テイエムオーシャン 牝3 1:58.5 本田優 西浦勝一 竹園正繼
第7回 2002年10月13日 京都 2000m ファインモーション 牝3 1:58.1 武豊 伊藤雄二 伏木田達男
第8回 2003年10月19日 京都 2000m スティルインラブ 牝3 1:59.1 幸英明 松元省一 (有)ノースヒルズマネジメント
第9回 2004年10月17日 京都 2000m スイープトウショウ 牝3 1:58.4 池添謙一 鶴留明雄 トウショウ産業(株)
第10回 2005年10月16日 京都 2000m エアメサイア 牝3 1:59.2 武豊 伊藤雄二 (株)ラッキーフィールド
第11回 2006年10月15日 京都 2000m カワカミプリンセス 牝3 1:58.2 本田優 西浦勝一 三石川上牧場
第12回 2007年10月14日 京都 2000m ダイワスカーレット 牝3 1:59.1 安藤勝己 松田国英 大城敬三
第13回 2008年10月19日 京都 2000m ブラックエンブレム 牝3 1:58.4 岩田康誠 小島茂之 田原邦男
第14回 2009年10月18日 京都 2000m レッドディザイア 牝3 1:58.2 四位洋文 松永幹夫 (株)東京ホースレーシング
第15回 2010年10月17日 京都 2000m アパパネ 牝3 1:58.4 蛯名正義 国枝栄 金子真人ホールディングス(株)
第16回 2011年10月16日 京都 2000m アヴェンチュラ 牝3 1:58.2 岩田康誠 角居勝彦 (有)キャロットファーム
第17回 2012年10月14日 京都 2000m ジェンティルドンナ 牝3 2:00.4 岩田康誠 石坂正 (有)サンデーレーシング
第18回 2013年10月13日 京都 2000m メイショウマンボ 牝3 1:58.6 武幸四郎 飯田明弘 松本好雄
第19回 2014年10月19日 京都 2000m ショウナンパンドラ 牝3 1:57.0 浜中俊 高野友和 国本哲秀

秋華賞の記録

レースレコード - 1:57.0(第19回優勝馬ショウナンパンドラ)
2着との最大着差 - 3 1/2馬身(第7回優勝馬ファインモーション)
最多勝騎手 - 武豊 3勝(第3、7、10回)、岩田康誠 3勝(第13、16、17回)
最多勝調教師 - 2勝 伊藤雄二(第7、10回)、西浦勝一(第6、11回)


最終更新:2015年02月09日 18:12