天皇賞(秋)(G1)



主催者

日本中央競馬会

競馬場

東京競馬場

創設

1937年12月3日

距離

芝2000m

格付け

GI

賞金

1着賞金1億3200万円、賞金総額2億7496万円

出走条件

サラブレッド系3歳以上(国際)(指定)

負担重量

定量(3歳56kg、4歳以上58kg、牝馬2kg減)

概要

3歳以上の馬(外国産馬・外国馬を含む)による重賞競走(GI)。施行距離は1938年(昭和13年)から1983年(昭和58年)まで、春と同様に芝3200メートル。1984年(昭和59年)から芝2000メートルに短縮された。距離変更には賛否両論があった[100]が、短縮後は中距離の最強馬決定戦として位置付けられた[1]。施行時期も長年11月下旬で定着していたが、1981年(昭和56年)から10月下旬 - 11月初旬に繰り上げられた。
2000年(平成12年)よりジャパンカップ・有馬記念とともに「秋の古馬三冠競走」とされ、同一年に行われる3競走を全て優勝した馬に褒賞金が贈られるようになった。
正式名称は「天皇賞」であるが、JRAでは施行距離が短縮された1984年(昭和59年)以降「天皇賞(秋)」と表記している。

世界の中の天皇賞(秋)

天皇賞(春)と同様に、天皇賞(秋)も国際的な統一判断基準で評価が行われている。国際競馬統括機関連盟(IFHA)による、2011年(平成23年)から2013年(平成25年)の結果を基準にした2014年(平成26年)現在の評価で、天皇賞(秋)は世界で20番目にレベルの高い競走とされている[87][注 31]。このランキングによると、芝中距離(1900 - 2000メートル[注 32])のGI競走としては世界で7位(日本では1位)とされている。

競走条件

※2014年現在

出走資格

3歳以上のサラ系競走馬(出走可能頭数:最大18頭)
JRA所属馬
地方所属馬(優先出走権を得た馬のみ)
外国調教馬(JRA所属の外国産馬とあわせて最大9頭まで)
出馬投票を行った馬のうち、以下の優先出走権を得ている馬から優先して割り当て、その他の馬は「通算収得賞金」+「過去1年間の収得賞金」+「過去2年間のGI・JpnI競走における収得賞金」の総計が多い順に割り当てる。出馬投票締切の結果、出走申込頭数が出走可能頭数を超えた場合は、別に定めた方法または抽選で出走馬を決定する。

優先出走権を得られる条件

 出馬投票を行っている外国調教馬
 レーティング順位の上位5頭
 当該年に行われる以下の競走のいずれかで1着となった馬(中央・地方の所属は問わない)
 当該年に行われる以下の競走のいずれかで2着以内に入着した地方競馬所属馬
  競走名 格付 施行競馬場 施行距
  -オールカマー GII 日本の旗中山競馬場 芝・外2200m
  -毎日王冠 GII 日本の旗東京競馬場 芝1800m
  -京都大賞典 GII 日本の旗京都競馬場 芝・外2400m

負担重量

定量(3歳56kg、4歳以上58kg、牝馬2kg減)
3歳馬は負担重量が軽減されており、4歳以上の馬に比べ重量面で優遇されている。

コース

天皇賞(秋)コース概略図
東京競馬場の芝コース、2000メートルを使用。
スタート位置は第1コーナーの奥に設けられた「ポケット地点」と呼ばれる。スタートから120メートルほどで第2コーナーにかかり、第2コーナーから向正面にかけての700メートルは落差2メートルの緩やかな下り勾配となる。その後、向正面の半ばから約1.5メートルの急な上り坂になる[101][102]。これを上りきるとまもなく第3コーナーに入り、カーブを回りながら約1.8メートル下る[101][102]。第4コーナーからは上り勾配に転じ、直線に入る。ゴールまでの直線は約525メートルで、JRAの競馬場では新潟競馬場(外回り:658.7m)に次いで2番目に長い。直線の中ほどにも高さ2メートルの長い上り坂があり、坂を登り切った後もゴールまで約250メートルの平坦路がある。
スタートから最初のカーブまでが短く、序盤から前へ行きたい馬が外側の枠に入った場合、スタートからすぐに先行できなければ、カーブで大きく外を回ることになり、距離を余計に走ることになるため、スタート直後の先行争いがひとつの見どころとなる。

年表

1937年(昭和12年) - 「帝室御賞典」を再編し年2回の施行に改め、秋の競走を東京競馬場で施行。
1938年(昭和13年) - 施行距離を芝3200メートルに、出走条件を5歳(現4歳)以上に変更。
1944年(昭和19年) - 太平洋戦争の影響で中止。
1947年(昭和22年) - 名称を「天皇賞」に変更。
1971年(昭和46年) - 外国産馬が出走できなくなる。
1981年(昭和56年) - 勝ち抜き制を廃止。
1984年(昭和59年) - グレード制導入、GIに格付け。施行距離を芝2000メートルに変更。
1987年(昭和62年) - 出走資格を4歳(現3歳)以上牡馬・牝馬に変更。「天皇賞競走施行50周年記念」の副称を付けて施行。皇太子・同妃夫妻の行啓により台覧競馬として開催。
1995年(平成7年) - 指定交流競走となり、地方競馬所属馬も出走が可能に。
2000年(平成12年) - 外国産馬が2頭まで出走可能に。
2001年(平成13年) - 馬齢表記を国際基準へ変更したことに伴い、出走条件を「4歳以上牡馬・牝馬」から「3歳以上牡馬・牝馬」に変更。
2004年(平成16年) - 「日本中央競馬会創立50周年記念」の副称を付けて施行。
2005年(平成17年) - 「エンペラーズカップ100年記念」の副称を付けて施行。国際競走に指定され、外国調教馬は5頭まで出走可能となる。外国産馬の出走枠制限を撤廃。天皇・皇后が臨席、天皇賞史上初めての天覧競馬。
2006年(平成18年) - 「悠仁親王殿下御誕生慶祝」の副称を付けて施行。
2008年(平成20年) - 出走条件を「3歳以上牡馬・牝馬」から「3歳以上」に変更。
2012年(平成24年) - 「近代競馬150周年記念」の副称を付けて施行。出走馬選定方法を変更、レーティング上位5頭に優先出走を認める。天皇・皇后が臨席、天皇賞史上2回目の天覧競馬。
2014年(平成26年) - 「JRA60周年記念」の副称を付けて施行。トライアル制を確立し、指定した競走の1着馬に優先出走権を付与。

天皇賞(秋)歴代優勝馬

回数 施行日 競馬場 距離 調教国・優勝馬 性齢 タイム 優勝騎手 管理調教師 馬主
第1回 1937年12月3日 東京 芝2600m ハツピーマイト 牡3 2:48 1/5 新井朋次郎 秋山辰治 竹中久蔵
第3回 1938年11月3日 東京 芝3200m ヒサトモ 牝4 3:35 2/5 中島時一 宮崎信太郎
第5回 1939年11月3日 東京 芝3200m テツモン 牡4 3:24 4/5 保田隆芳 尾形景造 松山隆郎
第7回 1940年11月17日 東京 芝3200m ロツキーモアー 牡4 3:27 1/5 小西喜蔵 田中和一郎 真藤慎太郎
第9回 1941年11月2日 東京 芝3200m エステイツ 牡4 3:24 3/5 田中康三 尾形景造 川内安忠
第11回 1942年11月1日 東京 芝3200m ニパトア 牝4 3:34 4/5 新屋幸吉 清水茂次 山本文吾
第13回 1943年11月7日 東京 芝3200m クリヒカリ 牡4 3:26 3/5 小西喜蔵 田中和一郎 栗林友二
第16回 1947年10月17日 東京 芝3200m トヨウメ 牡4 3:44 2/5 小林善衛 鈴木信太郎 中村正行
第18回 1948年11月23日 東京 芝3200m カツフジ 牡5 3:30 0/5 近藤武夫 伊藤勝吉 伊藤由五郎
第20回 1949年11月3日 東京 芝3200m ニユーフオード 牡4 3:25 1/5 保田隆芳 小川佐助 吉木三郎
第22回 1950年11月3日 東京 芝3200m ヤシマドオター 牝4 3:28 0/5 保田隆芳 尾形藤吉 小林庄平
第24回 1951年11月11日 東京 芝3200m ハタカゼ 牡4 3:24 0/5 保田隆芳 尾形藤吉 癸生川善松
第26回 1952年11月16日 東京 芝3200m トラツクオー 牡4 3:24 4/5 小林稔 久保田金造 岩本政一
第28回 1953年11月15日 東京 芝3200m クインナルビー 牝4 3:23 0/5 境勝太郎 石門虎吉 高橋虎男
第30回 1954年11月21日 東京 芝3200m オパールオーキツト 牝4 3:33 2/5 中村広 稲葉幸夫 三坂成行[主 7]
第32回 1955年11月20日 東京 芝3200m ダイナナホウシユウ 牡4 3:24 4/5 上田三千夫 上田武司 上田清次郎[主 8]
第34回 1956年11月25日 東京 芝3200m ミツドフアーム 牡5 3:22 3/5 保田隆芳 尾形藤吉 草柳留三[主 9]
第36回 1957年11月23日 東京 芝3200m ハクチカラ 牡4 3:29 3/5 保田隆芳 尾形藤吉 西博[主 10]
第38回 1958年11月23日 東京 芝3200m セルローズ 牝4 3:24 4/5 石毛善衛 柴田恒治郎 戸谷佐治[主 11]
第40回 1959年11月23日 東京 芝3200m ガーネツト 牝4 3:24.5 伊藤竹男 稗田敏男 畑江五郎[主 12]
第42回 1960年11月23日 東京 芝3200m オーテモン 牡5 3:27.1 野平好男 田中和夫 永田雅一[主 13]
第44回 1961年11月23日 東京 芝3200m タカマガハラ 牡4 3.25.8 加賀武見 小西喜蔵 平井太郎
第46回 1962年11月23日 東京 芝3200m クリヒデ 牝4 3:27.4 森安弘明 大久保房松 栗林友二
第48回 1963年11月23日 東京 芝3200m リユウフオーレル 牡4 3:22.7 宮本悳 橋本正晴 三好笑子
第50回 1964年11月23日 東京 芝3200m ヤマトキヨウダイ 牡4 3:21.7 梶与四松 稲葉幸夫 門井みち
第52回 1965年11月23日 東京 芝3200m シンザン 牡4 3:22.7 栗田勝 武田文吾 橋元幸吉
第54回 1966年11月3日 東京 芝3200m コレヒデ 牡4 3:24.2 保田隆芳 尾形藤吉 千明康
第56回 1967年11月23日 中山 芝3200m カブトシロー 牡5 3:25.5 久保田秀次郎 久保田彦之 (有)志賀
第58回 1968年11月23日 東京 芝3200m ニットエイト 牡4 3:20.3 森安弘明 矢倉玉男 太田和芳郎
第60回 1969年11月30日 東京 芝3200m メジロタイヨウ 牡5 3:33.0 横山富雄 八木沢勝美 北野豊吉
第62回 1970年11月29日 東京 芝3200m メジロアサマ 牡4 3:24.8 池上昌弘 保田隆芳 北野豊吉
第64回 1971年11月28日 東京 芝3200m トウメイ 牝5 3:23.7 清水英次 坂田正行 近藤克夫
第66回 1972年11月26日 東京 芝3200m ヤマニンウエーブ 牡5 3:23.7 福永洋一 中村覚之助 土井宏二
第68回 1973年11月25日 東京 芝3200m タニノチカラ 牡4 3:22.7 田島日出雄 島崎宏 谷水雄三
第70回 1974年11月24日 東京 芝3200m カミノテシオ 牡4 3:22.4 加賀武見 高橋英夫 保手浜正康
第72回 1975年11月23日 東京 芝3200m フジノパーシア 牡4 3:28.8 大崎昭一 柴田寛 真田繁次、高橋金次
第74回 1976年11月28日 東京 芝3200m アイフル 牡5 3:20.6 嶋田功 仲住芳雄 藤本義昭
第76回 1977年11月27日 東京 芝3200m ホクトボーイ 牡4 3:22.5 久保敏文 久保道雄 森滋
第78回 1978年11月26日 東京 芝3200m テンメイ 牡4 3:21.4 清水英次 坂田正行 近藤克夫
第80回 1979年11月25日 東京 芝3200m スリージャイアンツ 牡4 3:33.5 郷原洋行 境勝太郎 松岡正雄 他2名
第82回 1980年11月23日 東京 芝3200m プリテイキャスト 牝5 3:28.1 柴田政人 石栗龍雄 高田久成
第84回 1981年10月25日 東京 芝3200m ホウヨウボーイ 牡6 3:18.9 加藤和宏 二本柳俊夫 古川嘉治
第86回 1982年10月31日 東京 芝3200m メジロティターン 牡4 3:17.9 伊藤正徳 尾形盛次 メジロ商事(株)
第88回 1983年10月30日 東京 芝3200m キョウエイプロミス 牡6 3:22.7 柴田政人 高松邦男 松岡正雄
第90回 1984年10月28日 東京 芝2000m ミスターシービー 牡4 1:59.3 吉永正人 松山康久 (株)丸沼温泉ホテル
第92回 1985年10月27日 東京 芝2000m ギャロップダイナ 牡5 1:58.7 根本康広 矢野進 (有)社台レースホース
第94回 1986年10月26日 東京 芝2000m サクラユタカオー 牡4 1:58.3 小島太 境勝太郎 (株)さくらコマース
第96回 1987年11月1日 東京 芝2000m ニッポーテイオー 牡4 1:59.7 郷原洋行 久保田金造 山石祐一
第98回 1988年10月30日 東京 芝2000m タマモクロス 牡4 1:58.8 南井克巳 小原伊佐美 タマモ(株)
第100回 1989年10月29日 東京 芝2000m スーパークリーク 牡4 1:59.1 武豊 伊藤修司 木倉誠
第102回 1990年10月28日 東京 芝2000m ヤエノムテキ 牡5 1:58.2 岡部幸雄 荻野光男 (有)富士
第104回 1991年10月27日 東京 芝2000m プレクラスニー[注 36] 牡4 2:03.9 江田照男 矢野照正 田島栄二郎
第106回 1992年11月1日 東京 芝2000m レッツゴーターキン 牡5 1:58.6 大崎昭一 橋口弘次郎 (株)日本ダイナースクラブ
第108回 1993年10月31日 東京 芝2000m ヤマニンゼファー 牡5 1:58.9 柴田善臣 栗田博憲 土井肇
第110回 1994年10月30日 東京 芝2000m ネーハイシーザー 牡4 1:58.6 塩村克己 布施正 (株)大丸企業
第112回 1995年10月29日 東京 芝2000m サクラチトセオー 牡5 1:58.8 小島太 境勝太郎 (株)さくらコマース
第114回 1996年10月27日 東京 芝2000m バブルガムフェロー 牡3 1:58.7 蛯名正義 藤沢和雄 (有)社台レースホース
第116回 1997年10月26日 東京 芝2000m エアグルーヴ 牝4 1:59.0 武豊 伊藤雄二 (株)ラッキーフィールド
第118回 1998年11月1日 東京 芝2000m オフサイドトラップ 牡7 1:59.3 柴田善臣 加藤修甫 渡邊隆
第120回 1999年10月31日 東京 芝2000m スペシャルウィーク 牡4 1:58.0 武豊 白井寿昭 臼田浩義
第122回 2000年10月29日 東京 芝2000m テイエムオペラオー 牡4 1:59.9 和田竜二 岩元市三 竹園正繼
第124回 2001年10月28日 東京 芝2000m アグネスデジタル 牡4 2:02.0 四位洋文 白井寿昭 渡辺孝男
第126回 2002年10月27日 中山 芝2000m シンボリクリスエス 牡3 1:58.5 岡部幸雄 藤沢和雄 シンボリ牧場
第128回 2003年11月2日 東京 芝2000m シンボリクリスエス 牡4 1:58.0 O.ペリエ 藤沢和雄 シンボリ牧場
第130回 2004年10月31日 東京 芝2000m ゼンノロブロイ 牡4 1:58.9 O.ペリエ 藤沢和雄 大迫忍
第132回 2005年10月30日 東京 芝2000m ヘヴンリーロマンス 牝5 2:00.1 松永幹夫 山本正司 (有)ノースヒルズマネジメント
第134回 2006年10月29日 東京 芝2000m ダイワメジャー 牡5 1:58.8 安藤勝己 上原博之 大城敬三
第136回 2007年10月28日 東京 芝2000m メイショウサムソン 牡4 1:58.4 武豊 高橋成忠 松本好雄
第138回 2008年11月2日 東京 芝2000m ウオッカ 牝4 1:57.2 武豊 角居勝彦 谷水雄三
第140回 2009年11月1日 東京 芝2000m カンパニー 牡8 1:57.2 横山典弘 音無秀孝 近藤英子
第142回 2010年10月31日 東京 芝2000m ブエナビスタ 牝4 1:58.2 C.スミヨン 松田博資 (有)サンデーレーシング
第144回 2011年10月30日 東京 芝2000m トーセンジョーダン 牡5 1:56.1 N.ピンナ 池江泰寿 島川隆哉
第146回 2012年10月28日 東京 芝2000m エイシンフラッシュ 牡5 1:57.3 M.デムーロ 藤原英昭 平井豊光
第148回 2013年10月27日 東京 芝2000m ジャスタウェイ 牡4 1:57.5 福永祐一 須貝尚介 大和屋暁
第150回 2014年11月2日 東京 芝2000m スピルバーグ 牡5 1:59.7 北村宏司 藤沢和雄 山本英俊


最終更新:2015年02月09日 18:14