エリザベス女王杯(G1)




日本中央競馬会(JRA)が京都競馬場の芝2200メートルで施行する中央競馬の重賞競走(GI)である。


概要

1970年から1975年まで京都競馬場の芝2400mで行われていた4歳(現3歳)牝馬限定の重賞「ビクトリアカップ」が本競走の前身で、中央競馬における4歳牝馬三冠競走の最終戦に位置づけられていた。
1975年にエリザベス女王が来日したことを記念し、1976年に「エリザベス女王杯」が創設。距離や競走条件はビクトリアカップを踏襲したが、回次は新たに第1回とされた。以来1995年まで、京都競馬場の芝2400mで4歳牝馬限定競走として施行していた。
1996年に牝馬競走体系が見直され、本競走の競走条件が「4歳牝馬」から「4歳以上牝馬」に変更、あわせて施行距離も芝2200mに短縮。これにより、本競走は牝馬三冠路線を歩んできた4歳牝馬と古馬牝馬の実績馬が集い、女王を争うレースへと位置づけが大きく変わった。
1995年から指定交流競走として行われ、所定の成績をあげた地方競馬所属馬も出走が認められるようになった。1999年からは外国馬も出走可能な国際競走に指定、2008年からはジャパン・オータムインターナショナルのひとつとして行われるようになった。
2012年には英国王室と縁の深い関係を持つレースであることから、一般的に英国連邦以外では許可されないエリザベス女王即位60年記念「ダイヤモンドジュビリー」を日本で実施することについて特別に許可が下り、「エリザベス女王即位60年記念」の副題がつけられた。さらに従来は「Queen Elizabeth II Commemorative Cup」としていた欧文表記も、バッキンガム宮殿から特別の許可が下りたため2013年の第38回から「Queen Elizabeth II Cup」に改められた。

競走条件

以下の内容は、2014年現在のもの。
サラ系3歳以上牝馬(出走可能頭数:最大18頭)
JRA所属馬
地方競馬所属馬(出走資格のある馬のみ)
外国調教馬(9頭まで、優先出走)
レーティング順位の上位5頭は優先出走が認められる(106ポンド以上)。
出馬投票を行った馬のうち優先出走権を持つ馬から優先して割り当て、その他の馬は「通算収得賞金」+「過去1年間の収得賞金」+「過去2年間のGI(JpnI)競走の収得賞金」の総計が多い順に出走できる。

JRA所属馬の優先出走権

JRA所属馬は、同年に行われた下表の競走で1着となった馬に優先出走権が与えられる。
競走名 格付 施行競馬場 施行距離
府中牝馬ステークス GII 日本の旗東京競馬場 芝1800m

地方競馬所属馬の出走権

地方競馬所属馬は同年に行われた下表の競走のいずれかで2着以内に入着すると、優先出走権が与えられる[5]。
競走名 格付 施行競馬場 施行距離
京都大賞典 GII 日本の旗京都競馬場 芝2400m
府中牝馬ステークス GII 日本の旗東京競馬場 芝1800m
秋華賞 GI 日本の旗京都競馬場 芝2000m
上記のほか、以下の条件のいずれかに該当する馬にも出走資格が与えられる。
JRAで施行するGI競走(2歳GI競走は除く)の優勝馬
指定された外国の国際G1競走(2歳G1競走は除く)の優勝馬
地方競馬指定交流競走のGI・JpnI競走(2歳GI・JpnI競走は除く)の優勝馬

負担重量

定量(3歳54kg、4歳以上56kg)
第1 - 20回は55kg

賞金

2014年の1着賞金は9000万円で、以下2着3600万円、3着2300万円、4着1400万円、5着900万円。

褒賞金制度

ジャパン・オータムインターナショナルに含まれるようになった2008年より、指定された外国の競走に優勝した馬が同年の本競走で優勝した場合は優勝賞金に加え褒賞金を交付している。
2014年現在の指定競走と金額は以下の通り[6]。
指定外国競走
開催国・競走名 格付 施行競馬場 施行距離 指定年
イギリスの旗イギリスオークス G1 エプソム 芝12f10y 2008年 -
フランスの旗フランスオークス G1 シャンティイ 芝2100m
アイルランドの旗アイリッシュオークス G1 カラ 芝12f
イギリスの旗ナッソーステークス G1 グッドウッド 芝9f192y
イギリスの旗ヨークシャーオークス G1 ヨーク 芝12f
フランスの旗ヴェルメイユ賞 G1 ロンシャン 芝2400m
フランスの旗オペラ賞 G1 ロンシャン 芝2000m
アイルランドの旗プリティーポリーステークス G1 カラ 芝10f
アメリカ合衆国の旗ビヴァリーD・ステークス G1 アーリントンパーク 芝9.5f
アメリカ合衆国の旗フラワーボウルインビテーショナルステークス G1 ベルモントパーク 芝10f
イギリスの旗ブリティッシュ・チャンピオンズ・フィリーズ&メアズステークス G1 アスコット 芝12f 2013年 -
褒賞金の額
本競走1着馬 本競走2着馬 本競走3着馬
5000万円 2000万円 1300万円

歴史

1976年 - 4歳(現3歳)牝馬限定の重賞競走として創設、京都競馬場の芝2400mで施行。
1984年 - グレード制施行によりGIに格付け。
1996年
出走資格を「4歳牝馬」から「4歳以上牝馬」に変更。
施行距離を芝2200mに変更。
1999年 - 国際競走に指定。
2001年 - 馬齢表示の国際基準への変更に伴い、出走資格が「4歳以上牝馬」から「3歳以上牝馬」に変更。
2008年 - ジャパン・オータムインターナショナルシリーズに指定。
2012年
出走馬選定方法が変わり、レーティング上位5頭に優先出走を認める。
「エリザベス女王即位60年記念」の副題をつけて施行。
2013年 - 競走名の欧文表記を「Queen Elizabeth II Cup」に変更。

過去20年歴代優勝馬

回数 施行日 競馬場 距離 調教国・優勝馬 性齢 タイム 優勝騎手 管理調教師 馬主[要出典]
第20回 1995年11月12日 京都 2400m サクラキャンドル 牝3 2:27.2 小島太 境勝太郎 (株)さくらコマース
第21回 1996年11月10日 京都 2200m ダンスパートナー 牝4 2:14.3 四位洋文 白井寿昭 吉田勝己
第22回 1997年11月9日 京都 2200m エリモシック 牝4 2:12.5 的場均 沖芳夫 山本慎一
第23回 1998年11月15日 京都 2200m メジロドーベル 牝4 2:12.8 吉田豊 大久保洋吉 メジロ商事(株)
第24回 1999年11月14日 京都 2200m メジロドーベル 牝5 2:13.5 吉田豊 大久保洋吉 メジロ商事(株)
第25回 2000年11月12日 京都 2200m ファレノプシス 牝5 2:12.8 松永幹夫 浜田光正 (有)ノースヒルズマネジメント
第26回 2001年11月11日 京都 2200m トゥザヴィクトリー 牝5 2:11.2 武豊 池江泰郎 金子真人
第27回 2002年11月10日 京都 2200m ファインモーション 牝3 2:13.2 武豊 伊藤雄二 伏木田達男
第28回 2003年11月16日 京都 2200m アドマイヤグルーヴ 牝3 2:11.8 武豊 橋田満 近藤利一
第29回 2004年11月14日 京都 2200m アドマイヤグルーヴ 牝4 2:13.6 武豊 橋田満 近藤利一
第30回 2005年11月13日 京都 2200m スイープトウショウ 牝4 2:12.5 池添謙一 鶴留明雄 トウショウ産業(株)
第31回 2006年11月12日 京都 2200m フサイチパンドラ[注 2] 牝3 2:11.6 福永祐一 白井寿昭 関口房朗
第32回 2007年11月11日 京都 2200m ダイワスカーレット 牝3 2:11.9 安藤勝己 松田国英 大城敬三
第33回 2008年11月16日 京都 2200m リトルアマポーラ 牝3 2:12.1 C.ルメール 長浜博之 (有)社台レースホース
第34回 2009年11月15日 京都 2200m クィーンスプマンテ 牝5 2:13.6 田中博康 小島茂之 (株)グリーンファーム
第35回 2010年11月14日 京都 2200m スノーフェアリー 牝3 2:12.5 R.ムーア E.ダンロップ アナモイン社
第36回 2011年11月13日 京都 2200m スノーフェアリー 牝4 2:11.6 R.ムーア E.ダンロップ アナモイン社
第37回 2012年11月11日 京都 2200m レインボーダリア 牝5 2:16.3 柴田善臣 二ノ宮敬宇 田中由子
第38回 2013年11月10日 京都 2200m メイショウマンボ 牝3 2:16.6 武幸四郎 飯田明弘 松本好雄
第39回 2014年11月16日 京都 2200m ラキシス 牝4 2:12.3 川田将雅 角居勝彦 大島昌也

エリザベス女王杯の記録

レースレコード - 2:11.2(第26回優勝馬 トゥザヴィクトリー)


最終更新:2015年02月09日 18:16