天皇賞(春)(G1)


開催国

日本

主催者

日本中央競馬会

競馬場

京都競馬場

創設

1938年5月15日

距離

芝3200m

格付け

GI

賞金

1着賞金1億3200万円  賞金総額2億7496万円

出走条件

サラブレッド系4歳以上(国際)(指定)

負担重量

定量(58kg、牝馬2kg減)

概要

4歳以上の馬(外国産馬・外国馬を含む)による重賞競走(GI)。施行距離は1939年(昭和14年)以来3200メートルで変わっておらず、現存する中央競馬の平地GI競走では最長距離。
2008年(平成20年)よりメルボルンカップ(オーストラリアの旗 オーストラリア、GI)の前年度優勝馬を招待するようになり、本競走の優勝馬にも同年のメルボルンカップへの優先出走権が与えられる。
正式名称は「天皇賞」であるが、JRAでは天皇賞(秋)の距離が短縮された1984年(昭和59年)から「天皇賞(春)」と表記している。

世界の中の天皇賞(春)

世界の競馬開催国は国際セリ名簿基準委員会によってパート1からパート4までランク分けされており、主要な競走は国際的な統一判断基準で評価が行われている。
2014年(平成26年)現在、日本を含め最高のパート1に分類されている国・地域のうち、3000メートル級のG1競走を行っているのは、
日本 - 天皇賞(春):3200メートル、菊花賞:3000メートル
イギリス - ゴールドカップ:約4000メートル、セントレジャー:約2920メートル
フランス - ロワイヤルオーク賞:3100メートル、カドラン賞:4000メートル
オーストラリア - メルボルンカップ・シドニーカップ:3200メートル
ニュージーランド - オークランドカップ:3200メートル
以上の5カ国だけである。天皇賞(春)はこの分類で、ゴールドカップ・カドラン賞に続く世界で3番目の長距離戦に該当し、優勝馬を招待しているメルボルンカップとは同じ距離である。
競馬の競走における距離別の区分法として定着しているSMILE区分によると、天皇賞(春)は2701メートル以上の「Extended(超長距離)」部門に分類される。国際競馬統括機関連盟(IFHA)による、2011年(平成23年)から2013年(平成25年)の結果を基準にした2014年(平成26年)現在の世界の主要競走ランキングによると、Extended(超長距離)部門から上位50競走にランキングされている競走はメルボルンカップ(43位、118.08点)とセントレジャー(48位、117.83点)の2つだけで、天皇賞(春)(115点)は上位50位以内にランキングされていない。
単年度の競走馬ランキングでは、2013年(平成25年)の天皇賞(春)1 - 3着馬が世界の競走馬ランキング(超長距離部門・2013年)で上位3頭を占めた。ただし、Extended部門で首位の馬は、全体の38位にとどまっている。

競走条件

以下の内容は、2014年(平成26年、第149回)終了時現在のもの。
出走資格
4歳以上のサラ系競走馬(出走可能頭数:最大18頭)
JRA所属馬
地方所属馬(優先出走権を得た馬のみ)
外国調教馬(JRA所属の外国産馬とあわせて最大9頭まで)
出馬投票を行った馬のうち、以下の優先出走権を得ている馬から優先して割り当て、その他の馬は「通算収得賞金」+「過去1年間の収得賞金」+「過去2年間のGI・JpnI競走における収得賞金」の総計が多い順に割り当てる。出馬投票締切の結果、出走申込頭数が出走可能頭数を超えた場合は、別に定めた方法または抽選で出走馬を決定する。

優先出走権を得られる条件
出馬投票を行っている外国調教馬
レーティング順位の上位5頭
当該年に行われる以下の競走のいずれかで1着となった馬(中央・地方の所属は問わない)
当該年に行われる以下の競走のいずれかで2着以内に入着した地方競馬所属馬
競走名 格付 施行競馬場 施行距離
阪神大賞典 GII 日本の旗阪神競馬場 芝3000m
日経賞 GII 日本の旗中山競馬場 芝2500m
大阪杯 GII 日本の旗阪神競馬場 芝2000m
負担重量[編集]
定量(58kg、牝馬2kg減)

コース

京都競馬場の芝コース、外回り3200メートルを使用。
スタート地点は観客席からみて向正面で、約1周半する。途中、第3コーナーから第4コーナーにかけて“淀の坂”と称される坂の上り下りがあり、天皇賞(春)ではこの坂を2度通過するため、「京都競馬場の難所」とされる。
1周目はスタート直後から100メートル進む間に約2.1メートル上る急坂となる。その後も緩やかに280メートルかけて約1.8メートルを上る。第3コーナーが坂の頂上にあたり、第4コーナーまで3.5メートルを下る。第4コーナーを回って直線に入るまで0.8メートルほどの下り勾配がある。
2周目の第4コーナーを回り終えると最後の直線で、ゴールまでは残り約400メートルとなる。

年表

1938年(昭和13年) - 「帝室御賞典」を再編し年2回の施行に改め、春の競走を阪神競馬場(旧鳴尾競馬場)で施行。
1939年(昭和14年)
施行距離を3200メートルに、出走資格を5歳(現4歳)以上牡馬・牝馬に変更。
負担重量を「馬齢重量」から「定量」に変更(負担重量は5歳(現4歳)は58キロ、6歳(現5歳)以上は60キロ、牝馬1.5キロ減に設定)。
1944年(昭和19年) - 「能力検定競走」として、京都競馬場の芝3200メートルで施行。以後、京都競馬場での施行が定着。
1945年(昭和20年) - 太平洋戦争の影響で中止。
1947年(昭和22年)
この年のみ「平和賞」の名称で施行。
負担重量を5歳(現4歳)、6歳(現5歳)以上とも牡馬60キロ、牝馬2キロ減に変更[1]。
1948年(昭和23年)
名称を「天皇賞」に変更。
5歳(4歳)の負担重量を牡馬58キロ、牝馬2キロ減に変更。
1953年(昭和28年) - 6歳(現5歳)以上の負担重量を5歳(現4歳)と同じく、牡馬58キロ、牝馬2キロ減に変更。
1972年(昭和47年) - 外国産馬が出走できなくなる。
1981年(昭和56年) - 勝ち抜き制を廃止。
1984年(昭和59年) - グレード制導入、GIに格付け。
1995年(平成7年) - 指定交流競走となり、地方所属馬も出走が可能に。
2000年(平成12年) - 外国産馬が2頭まで出走可能に。
2001年(平成13年) - 馬齢表記を国際基準へ変更したことに伴い、出走条件を「5歳以上牡馬・牝馬」から「4歳以上牡馬・牝馬」に変更。
2005年(平成17年)
国際競走となり、外国調教馬が5頭まで出走可能に。
2007年(平成19年) - 外国調教馬の出走枠を9頭に拡大。
2008年(平成20年)
出走条件を「4歳以上牡馬・牝馬」から「4歳以上」に変更。
前年度メルボルンカップ優勝馬の招待を制度化。
2012年(平成24年)
「近代競馬150周年記念」の副称を付けて施行。
レーティング上位5頭に優先出走を認める。
2014年(平成26年) - トライアル制を確立し、指定した競走の1着馬に優先出走権を付与。

過去20年歴代優勝馬

回数 施行日 競馬場 距離 調教国・優勝馬 性齢 タイム 優勝騎手 管理調教師 馬主
第111回 1995年4月23日 京都 芝3200m ライスシャワー 牡6 3:19.9 的場均 飯塚好次 栗林英雄
第113回 1996年4月21日 京都 芝3200m サクラローレル 牡5 3:17.8 横山典弘 境勝太郎 (株)さくらコマース
第115回 1997年4月27日 京都 芝3200m マヤノトップガン 牡5 3:14.4 田原成貴 坂口正大 田所祐
第117回 1998年5月3日 京都 芝3200m メジロブライト 牡4 3:23.6 河内洋 浅見秀一 (有)メジロ牧場
第119回 1999年5月2日 京都 芝3200m スペシャルウィーク 牡4 3:15.3 武豊 白井寿昭 臼田浩義
第121回 2000年4月30日 京都 芝3200m テイエムオペラオー 牡4 3:17.6 和田竜二 岩元市三 竹園正繼
第123回 2001年4月29日 京都 芝3200m テイエムオペラオー 牡5 3:16.2 和田竜二 岩元市三 竹園正繼
第125回 2002年4月28日 京都 芝3200m マンハッタンカフェ 牡4 3:19.5 蛯名正義 小島太 西川清
第127回 2003年5月4日 京都 芝3200m ヒシミラクル 牡4 3:17.0 角田晃一 佐山優 阿部雅一郎
第129回 2004年5月2日 京都 芝3200m イングランディーレ 牡5 3:18.4 横山典弘 清水美波 吉田千津
第131回 2005年5月1日 京都 芝3200m スズカマンボ 牡4 3:16.5 安藤勝己 橋田満 永井啓弐
第133回 2006年4月30日 京都 芝3200m ディープインパクト 牡4 3:13.4 武豊 池江泰郎 金子真人ホールディングス(株)
第135回 2007年4月29日 京都 芝3200m メイショウサムソン 牡4 3:14.1 石橋守 高橋成忠 松本好雄
第137回 2008年5月4日 京都 芝3200m アドマイヤジュピタ 牡5 3:15.1 岩田康誠 友道康夫 近藤利一
第139回 2009年5月3日 京都 芝3200m マイネルキッツ 牡6 3:14.4 松岡正海 国枝栄 (株)サラブレッドクラブ・ラフィアン
第141回 2010年5月2日 京都 芝3200m ジャガーメイル 牡6 3:15.7 C.ウィリアムズ 堀宣行 吉田和美
第143回 2011年5月1日 京都 芝3200m ヒルノダムール 牡4 3:20.6 藤田伸二 昆貢 蛭川正文
第145回 2012年4月29日 京都 芝3200m ビートブラック 牡5 3:13.8 石橋脩 中村均 前田幸治
第147回 2013年4月28日 京都 芝3200m フェノーメノ 牡4 3:14.2 蛯名正義 戸田博文 (有)サンデーレーシング
第149回 2014年5月4日 京都 芝3200m フェノーメノ 牡5 3:15.1 蛯名正義 戸田博文 (有)サンデーレーシング

最終更新:2015年02月09日 17:55