スプリンターズステークス(G1)



主催者

日本中央競馬会

競馬場

中山競馬場

創設

1967年7月9日

距離

芝1200m

格付け

GI

賞金

1着賞金9500万円、賞金総額1億8050万円

出走条件

サラブレッド系3歳以上(国際)(指定)

負担重量

定量(3歳55kg、4歳以上57kg、牝馬2kg減)

スプリンターズステークスは、日本中央競馬会(JRA)が中山競馬場の芝1200メートルで施行する中央競馬の重賞(GI)競走である。メディアなどでは「電撃の6ハロン戦」という通称が用いられる。


概要

1967年に日本で初めての短距離重賞競走[1]として創設[2]された。開催は上半期の競馬の最終日で、中山競馬場の芝1200メートルだった。
創設当時はハンデキャップで、第1回スプリンターズステークスには、8頭が出走し、そのうち5頭が重賞勝馬だった。ハンデは48キロから63キロまで揃い、63キロのヒシマサヒデが本命になったが5着、59キロのオンワードヒルが勝っている。
1969年より負担重量を別定に変更し、開催時期を秋季に移動。1984年のグレード制導入によりGIIIに格付けされ時期を3月に移動し、京王杯スプリングカップや安田記念へのステップレースとして位置づけられることになった。また、1987年にはGIIに格上げされた。
マイルGIに続き、スプリントのGIを創設しようとする機運が高まるなか、1990年に本競走はGIに格上げ、さらに時期を年末に移し有馬記念の1週間前に施行されることになった。これとともに負担重量を定量とした。1994年からは国際競走に指定され外国調教馬の出走が可能に、翌1995年には指定競走となり地方競馬所属馬にも出走資格が与えられた。
2000年には1年を通してのスプリント路線の競走体系が整備され、時期を秋の中山開催最終週(9月末から10月初め)に移動。2005年よりグローバル・スプリント・チャレンジの第6戦(2011年は第7戦、2012年からは第8戦)に組み込まれた。
GI格上げ時は1年を締めくくるスプリント王決定戦という位置づけであったが、施行時期の変更後は春の高松宮記念と双璧をなし、日本における下半期のスプリンターNo.1決定戦として位置づけられるほか秋のGIシリーズの初戦として定着している。また、12月に香港の沙田競馬場で施行されている香港スプリント(G1・芝1200m)へのローテーションが確立され、本競走の上位に入った競走馬が多く出走している。2012年には同年の本競走を制したロードカナロアが日本調教馬として初の香港スプリント制覇を達成した。
グローバル・スプリント・チャレンジに組み込まれたこともあって、近年は外国馬の参戦が増加傾向である。このためにサイレントウィットネス、ウルトラファンタジー(香港調教馬)、テイクオーバーターゲット(オーストラリア調教馬)といった外国馬が優勝している。
現在の優勝レイの配色は赤色地に金色文字となっている。近年はこの配色で統一されているが、新潟競馬場開催だった2002年のみ桃色地に銀色文字の配色だった。

出走資格

原則サラブレッド系3歳(旧4歳)以上のJRA所属の競走馬および本競走に出走登録した外国調教馬(8頭まで)。出走枠は16頭まで。
JRA所属競走馬は、以下の順で出走馬を決定する。(地方馬で2歳馬競走を除くGI競走1着に入った馬も含む。)
レーティング順位の上位5頭に対しては優先出走が認められる。(牡馬・セン馬は110ポンド、牝馬は106ポンド以上であることが条件)
その他の競走馬は「通算の収得賞金」+「過去1年間の収得賞金」+「過去2年間のGI(JpnI)競走の収得賞金」の総計が多い順に出走できる。
地方競馬所属馬は以下の競走のいずれかで所定の成績をあげると本競走に出走できる。
競走名 格付 施行競馬場 施行距離 必要な着順 備考
キーンランドカップ GIII 日本の旗札幌競馬場 芝1200m 1・2着 本競走のステップ競走指定
中央・地方の所属を問わずに、1着で優先出走権を付与(2014年から)※日本国内を対象とした2つの競走のみ
セントウルステークス GII 日本の旗阪神競馬場 芝1200m
グローバル・スプリント・チャレンジ対象競走
(外国で行われる競走に限る)

負担重量

定量で3歳55kg、4歳以上57kg、牝馬2kg減である。
第1〜2回はハンデキャップ。第3〜23回は別定。第28〜29回は南半球産3歳馬2kg減だった。

賞金

GIに格上げされた第24回(1990年)以降
回(施行年) 総額賞金 1着 2着 3着 4着 5着
第24回(1990年) 1億5,200万円 8,000万円 3,200万円 2,000万円 1,200万円 800万円
第25回(1991年) 1億6,570万円 8,700万円 3,500万円 2,200万円 1,300万円 870万円
第26回(1992年) 1億7,630万円 9,300万円 3,700万円 2,300万円 1,400万円 930万円
第27回(1993年)
第28回(1994年)
第29回(1995年) 1億7,940万円 9,400万円 3,800万円 2,400万円 940万円
第30回(1996年)
第31回(1997年)
第32回(1998年)
第33回(1999年)
第34回(2000年)
第35回(2001年)
第36回(2002年)
第37回(2003年)
第38回(2004年)
第39回(2005年)
第40回(2006年) 1億8,050万円 9,500万円 950万円
第41回(2007年)
第42回(2008年)
第43回(2009年)
第44回(2010年)
第45回(2011年)
第46回(2012年)
第47回(2013年)

歴史

1967年 - 4歳(現3歳)以上の競走馬によるハンデキャップの重賞競走・スプリンターズステークスが創設され、中山競馬場・芝1200mで施行された。
1968年 - 出走条件が5歳(現4歳)以上に変更。
1969年 - この年のみ、名称を英国フェア開催記念に変更して施行。負担重量を別定に変更。出走条件が4歳(現3歳)以上に変更。
1970年 - 当日中山競馬場内で発生した騒動(ハスラー事件)の影響で発走時刻が25分遅れた。
1974年 - 読売新聞社から寄贈杯を受けて名称を「読売杯スプリンターズステークス」に変更。
1980年 - 名称を「読売スプリンターズステークス」に変更。
1981年 - 出走条件が5歳(現4歳)以上に変更。
1983年 - 読売新聞社が寄贈杯を取り止め「スプリンターズステークス」に名称変更。
1984年 - グレード制施行によりGIIIに指定。
1987年 - 格付けをGIIに昇格。
1988年 - 中山競馬場のスタンド改築工事に伴う振替開催により、東京競馬場・芝1400mで施行。
1989年 - 混合競走に指定。
1990年 - 格付けをGIIからGIに昇格。負担重量を定量に変更。開催時期が第5回中山6日目(基本)に移動する。出走条件が4歳(現3歳)以上に変更。
1991年 - 1番人気のケイエスミラクルが直線で故障、競走中止。
1992年 - 河内洋が騎手として5人目の連覇を達成。
1994年 - 国際競走に指定され、外国調教馬は4頭まで出走可能となる。サクラバクシンオーが当時の日本レコード1分07秒1で優勝。
1995年 - 特別指定交流競走に指定。
2000年 - 開催時期が第4回中山8日目(基本)に移動する。
2001年 - 馬齢表示の国際基準への変更に伴い、出走条件が「4歳以上」から「3歳以上」に変更。トロットスターがコースレコードおよびレースレコード1分07秒0で優勝。
2002年 - 東京競馬場の改修工事による振替開催により、新潟競馬場・芝内回り1200mで施行。この年のみ、外国調教馬の出走可能枠は5頭までとなる。
2004年 - 「日本中央競馬会創立50周年記念 スプリンターズステークス」の名称で施行。
2005年 - グローバル・スプリント・チャレンジに参加。香港のサイレントウィットネスが外国調教馬として初制覇。
2006年 - 国際GIに指定。外国調教馬の出走枠を8頭に拡大。
2009年 - F1日本グランプリの開催が重複したため、発走時刻を15時45分に変更。
2010年 -2位入線のダッシャーゴーゴーが進路妨害により4着に降着。
2011年 - ビービーガルダンがゲート入り直後に放馬し、スタートが約12分遅れた(同馬は競走除外)。1番人気に推されたシンガポールのロケットマンが4着に敗れ、デビューからの連対記録が「21」で止まる。
安藤勝己騎乗のパドトロワ(2着)が直線において香港馬ラッキーナイン(5着)の走行を妨害したが、審議の結果降着も制裁もなかった。このことについて香港のメディアは日本中央競馬会を批判した。
2012年 - ロードカナロアがレースレコード並びにコースレコードを更新する1分06秒7で優勝。
2014年 - 中山競馬場のスタンド改築工事に伴う振替開催により、新潟競馬場・芝内回り1200mで施行。

歴代優勝馬

創設からGII時まで

回数 施行日 競馬場 距離 優勝馬 性齢 タイム 優勝騎手 管理調教師 馬主
第1回 1967年7月9日 中山 1200m オンワードヒル 牡4 1:12.1 牧野三雄 中村広 樫山純三
第2回 1968年5月3日 中山 1200m スズハヤテ 牡4 1:11.3 増田久 佐藤正二 ワイ・エス・エス
第3回 1969年9月28日 中山 1200m タケシバオー 牡4 1:10.4 吉永正人 三井末太郎 小畑正雄
第4回 1970年10月11日 中山 1200m タマミ 牝3 1:10.8 中島啓之 坂本栄三郎 坂本栄蔵
第5回 1971年9月26日 中山 1200m ケンサチオー 牡5 1:11.5 藤本勝彦 藤本冨良 長山善建
第6回 1972年10月8日 中山 1200m ノボルトウコウ 牡3 1:09.8 森安重勝 加藤朝治郎 渡辺喜八郎
第7回 1973年9月30日 中山 1200m キョウエイグリーン 牝4 1:09.6 東信二 境勝太郎 松岡正雄
第8回 1974年10月6日 中山 1200m サクライワイ 牝3 1:08.4 小島太 高木良三 (株)さくらコマース
第9回 1975年9月27日 中山 1200m サクライワイ 牝4 1:09.0 小島太 高木良三 (株)さくらコマース
第10回 1976年10月10日 中山 1200m ジャンボキング 牡3 1:10.5 的場均 久保田金造 醍醐幸右衛門
第11回 1977年10月9日 中山 1200m メイワキミコ 牝3 1:09.8 増沢末夫 鈴木勝太郎 鬼嶋力也
第12回 1978年10月8日 中山 1200m メイワキミコ 牝4 1:09.0 増沢末夫 鈴木勝太郎 鬼嶋力也
第13回 1979年10月7日 中山 1200m サニーフラワー 牝4 1:12.8 岡部幸雄 伊藤雄二 山本慎一
第14回 1980年9月27日 中山 1200m サクラゴッド 牝5 1:11.8 小島太 久保田彦之 (株)さくらコマース
第15回 1981年2月22日 中山 1200m サクラシンゲキ 牡4 1:09.5 東信二 境勝太郎 (株)さくらコマース
第16回 1982年2月28日 中山 1200m ブロケード 牝4 1:09.0 柴田政人 高松邦男 伊達秀和
第17回 1983年2月27日 中山 1200m シンウルフ 牡4 1:09.5 飯田明弘 松元省一 林幸雄
第18回 1984年3月18日 中山 1200m ハッピープログレス 牡6 1:10.3 飯田明弘 山本正司 藤田晋
第19回 1985年3月17日 中山 1200m マルタカストーム 牡4 1:11.1 菅原泰夫 本郷一彦 鈴木隆雄
第20回 1986年3月16日 中山 1200m ドウカンテスコ 牡4 1:10.2 田村正光 田中朋次郎 新井興業(株)
第21回 1987年3月22日 中山 1200m キングフローリック 牡4 1:09.5 田村正光 久保田敏夫 青木啓二朗
第22回 1988年3月20日 東京 1400m ダイナアクトレス 牝5 1:21.9 的場均 矢野進 (有)社台レースホース
第23回 1989年3月19日 中山 1200m ウィニングスマイル 牡6 1:09.3 田村正光 矢野照正 白井フサ

GI昇格後

回数 施行日 競馬場 距離 調教国・優勝馬 性齢 タイム 優勝騎手 管理調教師 馬主
第24回 1990年12月16日 中山 1200m バンブーメモリー 牡5 1:07.8 武豊 武邦彦 竹田辰一
第25回 1991年12月15日 中山 1200m ダイイチルビー 牝4 1:07.6 河内洋 伊藤雄二 辻本晴雄
第26回 1992年12月20日 中山 1200m ニシノフラワー 牝3 1:07.7 河内洋 松田正弘 西山正行
第27回 1993年12月19日 中山 1200m サクラバクシンオー 牡4 1:07.9 小島太 境勝太郎 (株)さくらコマース
第28回 1994年12月18日 中山 1200m サクラバクシンオー 牡5 1:07.1 小島太 境勝太郎 (株)さくらコマース
第29回 1995年12月17日 中山 1200m ヒシアケボノ 牡3 1:08.1 角田晃一 佐山優 阿部雅一郎
第30回 1996年12月15日 中山 1200m フラワーパーク 牝4 1:08.8 田原成貴 松元省一 吉田勝己
第31回 1997年12月14日 中山 1200m タイキシャトル 牡3 1:07.8 岡部幸雄 藤沢和雄 (有)大樹ファーム
第32回 1998年12月20日 中山 1200m マイネルラヴ 牡3 1:08.6 吉田豊 稲葉隆一 (株)サラブレッドクラブ・ラフィアン
第33回 1999年12月19日 中山 1200m ブラックホーク 牡5 1:08.2 横山典弘 国枝栄 金子真人
第34回 2000年10月1日 中山 1200m ダイタクヤマト 牡6 1:08.6 江田照男 石坂正 中村和子
第35回 2001年9月30日 中山 1200m トロットスター 牡5 1:07.0 蛯名正義 中野栄治 高野稔
第36回 2002年9月29日 新潟 1200m ビリーヴ 牝4 1:07.7 武豊 松元茂樹 前田幸治
第37回 2003年10月5日 中山 1200m デュランダル 牡4 1:08.0 池添謙一 坂口正大 吉田照哉
第38回 2004年10月3日 中山 1200m カルストンライトオ 牡6 1:09.9 大西直宏 大根田裕之 清水貞光
第39回 2005年10月2日 中山 1200m サイレントウィットネス 騸6 1:07.3 F.コーツィー A.クルーズ A.A.ダ・シルバ&B.ダ・シルバ
第40回 2006年10月1日 中山 1200m テイクオーバーターゲット 騸7 1:08.1 J.フォード J.ジャニアック J.ジャニアック
第41回 2007年9月30日 中山 1200m アストンマーチャン 牝3 1:09.4 中舘英二 石坂正 戸佐眞弓
第42回 2008年10月5日 中山 1200m スリープレスナイト 牝4 1:08.0 上村洋行 橋口弘次郎 (有)サンデーレーシング
第43回 2009年10月4日 中山 1200m ローレルゲレイロ 牡5 1:07.5 藤田伸二 昆貢 (株)ローレルレーシング
第44回 2010年10月3日 中山 1200m ウルトラファンタジー 騸8 1:07.4 黎海栄 姚本輝 林大輝
第45回 2011年10月2日 中山 1200m カレンチャン 牝4 1:07.4 池添謙一 安田隆行 鈴木隆司
第46回 2012年9月30日 中山 1200m ロードカナロア 牡4 1:06.7 岩田康誠 安田隆行 ロードホースクラブ
第47回 2013年9月29日 中山 1200m ロードカナロア 牡5 1:07.2 岩田康誠 安田隆行 ロードホースクラブ
第48回 2014年10月5日 新潟 1200m スノードラゴン 牡6 1:08.8 大野拓弥 高木登 岡田牧雄

スプリンターズステークスの記録

レースレコード - 1:06.7(第46回優勝馬ロードカナロア(コースレコード))
2着との最大着差 - 6馬身(第15回優勝馬サクラシンゲキ)
2着との最小着差 - ハナ(1cm 第30回優勝馬フラワーパーク - 2着エイシンワシントン、第43回優勝馬ローレルゲレイロ - 2着ビービーガルダン)
最高齢勝利 - 8歳(第44回優勝馬ウルトラファンタジー)
最多勝騎手 - 小島太 5勝(第8、9、14、27、28回)
最多勝調教師 - 境勝太郎 4勝(第7、15、27、28回)


最終更新:2015年02月09日 18:09