タイマ |
設定値 |
説明 |
T1 |
500ms |
RTTの推定値です。限定的なネットワークでない限り500ms以下は推奨されません(NOT RECOMMENDED)。一方、応答に時間がかかることが分かっている場合は500msより大きくすることが推奨されています(RECOMMENDED)。UACとUASそれぞれのT1値が異なる場合がありえますが、UAC、UAS共に相手のT1値を知ることはできません(≒知る仕組みがありません)。 |
T2 |
4s |
INVITEリクエスト以外の全ての再送処理における、最大再送間隔を表します。初期値は4sと規定されていますが、他の値にしていいのかどうかはRFC3261には規定されていません。 |
T4 |
5s |
既に処理が終わったメッセージの再送を受け取るための時間です。このタイマが有効な間は該当の再送メッセージを再送として受け取り、タイマが満了すると新規レスポンスとして処理します。初期値は5sと規定されていますが、他の値にしていいのかどうかはRFC3261には規定されていません。 |
Timer A |
A0 = T1 |
An = An-1×2 INVITEの再送の為のタイマ。このタイマが満了するたびにINVITEを再送し、値を更新します。UDPでのみ左記の設定値が適用され、TCPでは常に0(=再送しない)となります。理屈上無限に大きくなりそうですが、Timer B(=64s×T1)が満了するとその時点でトランザクション終了となるため、実際はA5までしかないのが普通です。 |
Timer B |
64s×T1 (UDP/TCP) |
INVITEクライアントトランザクションがCalling状態でいられる最大時間。満了するとトランザクション状態がTerminatedへ遷移します。いかなるトランスポートでも64s×T1となります。 |
Timer C |
Timer C > 180s |
プロキシがINVITEを転送するときにクライアントトランザクションに設定するタイマ。180s(3分)より大きい値でなければならず(MUST)、暫定応答を受信するたびに180sより大きい値で更新されます。満了した場合は、暫定応答をもらっていればCANCEL送出、暫定応答がなければ408応答を受信したかのように動作しなければなりません(MUST)。なお、プロキシのみに設定される値で、UACには設定しません。これは、UACは任意にCANCELでINVITEトランザクションを終了できますが、プロキシは(Timer Cがなければ)自発的にCANCELを送出する契機を持っていないからです。 |
Timer D |
> 32s (UDP)= 0s (TCP) |
INVITEトランザクションで300~699を受信したときに、ACKを返却する期間。 |
Timer E |
E0 = T1 |
En = min(En-1×2, T2) 非INVITEトランザクションにおいて、UACがリクエストを再送するためのタイマです。最大でT2にしかならない、という点を除いて、Timer Aと同じです。 |
Timer F |
64s×T1 (UDP/TCP) |
非INVITEトランザクションにおいて、UACが暫定応答をもらうまでのタイマです。Timer Bと同じです。 |
Timer G |
G0 = T1 |
Gn = min(Gn-1×2, T2) INVITEサーバトランザクションにおいて、UASが300~699までの最終応答を再送するためのタイマです。Timer Eと同じ更新の仕方をします。 |
Timer H |
64s×T1 (UDP/TCP) |
INVITEサーバトランザクションにおいて、UASが300~699までの最終応答に対するACKを受信するまでの時間です。UDP、TCPともに左記の値にします。満了した場合はTerminatedに遷移してトランザクションを破棄します。 |
Timer I |
= T4 (UDP)= 0s (TCP) |
INVITEサーバトランザクションにおいて、UASがACKの再送に備える時間です。満了する以外に消滅契機はありません。満了した場合はTerminatedに遷移してトランザクションを破棄します。 |
Timer J |
= 64s×T1 (UDP)= 0s (TCP) |
非INVITEサーバトランザクションがCompleted状態にいられる時間。Timer Hと同じ役割。 |
Timer K |
= T4 (UDP)= 0s (TCP) |
非INVITEクライアントトランザクションがCompleted状態にいられる時間。Timer Dと同じ役割。 |
Timer L |
64s×T1 |
RFC3261非掲載。トランザクション状態がAcceptedのときに受理済みのINVITEの再送を受け付けるタイマ。詳しくはdraft-sparks-sip-invfixを参照。 |
Timer M |
64s×T1 |
RFC3261非掲載。200の再送またはフォークされた先からの200の再送を受け付けるタイマ。詳しくはdraft-sparks-sip-invfixを参照。 |