【指定なし】向日葵を見上げる向日葵 byベイダー郷

いつもあなたを見てました。

少しでもあなたに近づこうと、

いつも手を伸ばしていました。

でも、

いくら伸ばしても届かなくて。

背伸びしても、爪先立ちしても、ジャンプしてみても、

届くことはなくて。

それでもあなたは、ずっと私を見守ってくれていました。

高いところから、足元にいる私を暖かい笑顔で、いつまでも見てくれていました。

それは、まるで太陽のようで。

そんなあなたに近づこうとしている私は、まるで向日葵のようで。

いつか私もあなたの元へ行き、同じように笑いあいたい。


そう、願っていたけれど……


あなたの笑顔が雲に隠されて見えなくなりました。

私の太陽は見えなくなりました。

太陽が見えなければ向日葵は上を向けません。

その日から私は、いつも下を向いていました。

すると、どうでしょう。

私を見上げる人たちがいるではありませんか。

私を偽の太陽とは知らず、

過去の私のように、必死にこちらに近づこうとするのです。

私は笑顔をたたえます。

あの時あなたが見せてくれたあの暖かい笑顔を。

偽物だって構わない。

今日も私はあなたに代わり、


偽の笑顔を浮かべます。


最近、あなた達の周りで、ある組織が話題になっている。
「陽光の園」と名乗るその組織は、募金活動や街の清掃を行うボランティア組織で、
つい先日発足したにも関わらずその大規模な人数を誇っており、多種多様な貢献活動を行うとして世間から注目を浴びていた。

この突然現れた組織に「何かウラがある」という噂を聞いたあなた達はその組織の調査を始める。
リーダーである女性が鍵を握っているという話だが、一体彼女にどんな秘密があるのだろうか……


さぁ、顔を上げてください。

そこにはいつも私がいます。いつもあなたを見ています。

大丈夫。安心してください。私はどこにも行きません。

決してあなたを裏切りません。


あの人のように、決して裏切ったりはいたしません。


シナリオ名「向日葵を見上げる向日葵」


そう、気づいてしまったのです。

私が太陽だと思っていたあなたも、太陽の見えなくなった向日葵だったということに。


【概要】
PCたちの暮らす国(街)である組織が話題となります。
「陽光の園」というボランティア組織が各地で無償の貢献活動を行っているとして世間から賞賛の声が上がっているのです。
しかし、突然現れたにも関わらず、その参加者の人数や活動範囲の広さといった、規模があまりにも大きい事から、
PCたちはその組織に不信感を強く覚えます。(「怪しいと感じている人から捜索の依頼を受ける」という形にしても良いと思います)

組織について調べていると、その組織はウラでは大規模の宗教団体として活動している事が判明します。
その宗教に入信している信仰者は自らのことを「日向(ひむかい)の民」と呼び、自分たちの目指す太陽がいる桃源郷を目指していると話します。
その太陽と称される組織のリーダーである女性は「世界中を太陽に憧れる向日葵で埋め尽くす」と語り、国(世界)の支配を目指しています。
つまり、宗教を広めて自分たちだけの桃源郷を作ろうとしているわけですね。(こんなベタな目的しか思いつかなかったので、もっと素敵な目的を与えてあげてください)
そして、それに気づいたPCたちが彼女を目的達成を阻止するために奮闘するわけです。簡単ですね。

リーダーの女性ですが、過去に自身が憧憬を抱いていた人がいました。(家族でも親友でも近所のおっちゃんでも良いでしょう)
彼女はいつもその人に少しでも近づこうと努力しますがなかなか上手くいきません。
それでも、その人はいつも彼女を見守ってくれていました。(天涯孤独の彼女の家族になってくれた~とかなら面白いかもしれませんね)

ですが、その憧れの人がある日突然、彼女を見放すような冷たい態度を取るようになります。(突然姿を消すとか、事故で亡くなるとかもアリだと思います)
彼女はなぜそんな事になってしまったのか分からないまま、(実際の理由はご自由に。その人も、自身が尊敬していた人が亡くなって目指すものが無くなったとかだと、
最後の「あなたも、太陽の見えなくなった向日葵だった」の回収ができます)それでも大好きなあの人、尊敬するあの人を目指して努力を続けますし、変わらずその人の隣に居続けます。

しかし、その人の態度が変わる事はなく、とうとう彼女は諦めてその人の元を離れ自立を始めます。
彼女が生活して数年。どういう訳かかつての自身のように、自分を尊敬してくれる人が増えてきました。
「もうあの人はあの時のように見守ってはくれない。なら、今度は私があの人のように皆を見守っていこう」
そう決めた彼女は、自身を慕ってくれる人達を支え、見守り続けていきました。

月日は流れ、最初は友人や後輩だけだったのが、いつしか1つの組織となるほど巨大になっていました。
「世界は見守ってくれる人を求めている。太陽を目指し続ける向日葵のような人達が世界中にいる」
そう考えた彼女は、今の世界を変えようと行動を開始したのでした。

そうして、始めは貢献活動として社会に浸透させながら徐々に発言権を手に入れ、
最終的には世界に対抗出来るだけの力を手に入れようと計画した彼女でしたが、
その方向はどんどんと歪んで行き、悪事に手を染めるようになっていきます。
(それ以前から手を染めてそうですが、所詮シナリオフックなのでご愛嬌)

これをPC達に阻まれる事によって宗教団体は解散、彼女の夢も儚く散るのですが、彼女自身、最初から夢破れた今もこれが正しいと疑わず
(考えてることは立派そうですが)桃源郷を作ろうと頑張ってきた訳です。
ですから、場合によっては後味の悪い結末になるかもしれませんね。

上述しましたが、彼女が憧れていた人が突然冷たくなった理由ですが、
その人自身も憧れていた人、尊敬していた人がいたが、その人が何らかの理由で亡くなり、自分の目指すべき対象が無くなった。もしくは、
事故に遭い夢が叶えられなくなったなど、「目指していた対象・目標が無くなった」ということにすれば理由になると思います。


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最終更新:2015年03月29日 22:01