システム:アリアンロッド2E
タイトル:神を喰らいて背を見せて
「見られてる」
不満気にそうボヤきながら、少女は運ばれて来たショートケーキに目を輝かせていた。
「昼夜問わず誰かに監視されてる気がするのよね。この私をストーカーするとは、良い度胸してるわよ、全く」
そんな文句を言いながら、てっぺんのイチゴを小皿に分ける彼女は、君たちと同じ冒険者である。
君たちの友人である彼女は、"邪神を喰らう者"(ゴッドイーター)と呼ばれ、冒険者界隈で有名な人物の一人だ。
しかしとはいえ、中身は普通のかよわい少女。妖魔に対しては負け知らずな彼女も、ストーカーには太刀打ちできない。
「そこで、みんなの力を貸して欲しいの!」
ビッ、とフォークをこちらに向ける少女。
ケーキは既に半分が食されており、彼女の口元にはクリームが付いていた。
「何が目的か知らないけど、私を付け狙うストーカーを尾行して、犯人を捕まえて欲しいの。
冒険者の中ではある程度知られてるし、妖魔に限っては数え切れないくらい恨みも買ってるけど、
だからってストーカーされる義理はないわ!」
少女はケーキの最後の一片を食べ、満足そうな表情を浮かべながらも憤慨していた。表情豊かなのである。
「手掛かりとしては、そうね……そう、いつも"音"が聴こえるのよ。良く澄んだ、とても綺麗な"音"が。
それを聴くと一瞬心が奪われそうになるのだけどね、直ぐ我に返って逃げ出すの」
音色を思い出していたのか、うっとりと頬を緩ませる。直後にハッと首を横に振り、恥ずかしそうにコホンと咳払いをした。
「よし、じゃあ行きましょうか!もちろん、協力してくれるわよね?大丈夫、報酬は弾むわ!」
ケーキを食べ終えるとそう言い放ち、君達の是非も問わず少女は立ち上がる。
そのとき初めて口元に付いたクリームに気付き、指先ですくい舐め取った。
アリアンロッド2E「神を喰らいて背を見せて」
刹那、少女が意識を失い地に伏せる。同時に世界は暗転し、ある"音"が君達の鼓膜を支配する。
チーーン
チーーーン
チィーーーーン
チィーーーーーン
チィーーーーーン
チィーーーーーーン…………
黒が、闇が支配する世界に一つ、小皿に乗った、真っ赤に熟れたイチゴがあった。
ぐちゃ。
それはいとも簡単に、そして無残に潰され、ゆっくりと、しかし乱れる事の無いリズムで幾度に渡りすり潰される。
そこにはただ、赫い血溜まりが小皿に残っているだけだった。
【概要】
友人である少女がストーカー被害に遭っており、その犯人を捕まえて欲しいとお願いされます。
しかし、依頼を受けたと同時に少女が意識を失い、周囲も暗闇へと変わってしまいます。
綺麗な澄んだ音が響く暗黒で、皆さんは彼女を守りながら犯人を見つけ、無事に元の世界に戻る事ができるのでしょうか。。
※普通に判定やFS判定、探索でストーカーを追い、犯人からの妨害(戦闘)を退けながら捕まえるという流れでも良いと思います。
PS:闇に呑まれるなんていう中二病全開な表現をしていますが、普通に少女を病院に
担ぎ上げてから探索を開始した方が、スムーズに無難に進められると思います。
あと、キーワードに縛られず中身を変えればCOCに転用できると思います。ていうか雰囲気だけなら完全にCOC。
最終更新:2015年07月28日 01:41