第七話「闇黒」

脚本:渡邊大輔/絵コンテ:高林久弥/演出:高林久弥/総作画監督:徳田夢之介 小林利充

長曾我部元親は、四国襲撃の真実を知る為、前田慶次は家康の謀反の真意を知る為、それぞれの想いを胸に駿府城へと赴いた。
一方、幸村には、駿府城に囚われている、お市奪還の命が下る。
共に駿府に向かう天海の傍らには、くの一だという謎の忍の姿があった。
また、政宗は、敵情視察のため、小十郎と共に大坂を目指す。
明らかになる真実……両軍の思惑と陰謀が交錯する。
(アニメ公式サイトより引用)


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※このページでは検証目的で「戦国BASARA Judge End」(テレコム・アニメーションフィルム制作)の映像を一部引用しています。
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・以下アニメの疑問点を紹介


+  駿府城で物見をしている伊達政宗と徳川兵の迂闊さ
 駿府城で物見をしている伊達政宗と徳川兵の迂闊さ
物見櫓の上、又は城壁の上で雑兵の様に物見をする政宗、そして前田と長曾我部が駿府城へと
訪れた事を斥候の如く政宗へ報告している小十郎。
一国の主であり大将である政宗と、その副将である小十郎、原作のキャラクター性以前の
問題としてそのような行動を取る立場では無いはずである。
また、二人の傍を徳川兵が歩いているが、誰一人として気付いている節は無く、下記項目の
葵の旗を売り払った兵二人に至っては政宗、小十郎の耳に届く距離で件の事を話す始末である。
伊達主従が駿府城に居る事が兵の中で周知されていたとしても、考えられない演出であると言える。

+  インスタントな誤解解消と謎のカットイン
 インスタントな誤解解消と謎のカットイン
旗が立っていたというのみで家康を部下惨殺の主犯だと思い込んだと同様に
駿府城へと赴き家康に「何の話をしている」と言葉を返されたのみで主犯ではないと
誤解を解消するというインスタントな展開となっている。
そしてこのやりとりの最中、家康の目元アップから何故か三成の目元アップという謎のカットインがされる。
このカットは第三話において元親が三成へ対し「真っ直ぐな目」と評している際のカットと同一だと思われるが
家康の目を見て三成の「真っ直ぐな目」と同じだと判断しての誤解解消とも取れる。
が、余りにも不自然な演出と言わざるをえない。


+  旗を売り払う徳川兵と毛利元就
 旗を売り払う徳川兵と毛利元就
原作では徳川の兵といえば三河武士として結束の固さや忠誠心の高さを現す演出がされてきたが
影も形もなくなっている。
7話において「ただ金になるって言われて旗を売っただけで」といった台詞から分かるように
葵の旗は大切なものでは無いという概念を持っているらしい。
自身の家紋なら兎も角も、大将の家紋を売り払う等普通ならば考えられない。
又、このシーンの前段階で元親が駿府城へ訪ねてきた事が知れた時も「どうする、ずらかるか」と
忠誠心が微塵も感じられない台詞を発している。
更にこの時旗を売った相手が毛利元就だと兵に知られている。元就のキャラクター性を考えると
わざわざ徳川兵から旗を買い、あまつさえ自身が購入したと知られるようなヘマをするとは考えられない。
万が一これが更なる偽装ではなく本当に元就の仕業だった場合、元就のキャラクターは壊れるといっても過言ではない。
そして旗が有ったから家康が主犯だと信じたように、足軽兵の証言を微塵も疑わずに元就が真の主犯であると信じる元親。
※第三話にて刑部と元就との密談演出が有るが、元就が四国壊滅に関わっているか否かの決定的な発言は無い。

+  崩れ落ちて号泣する元親と斬れという家康
 崩れ落ちて号泣する元親と斬れという家康
旗の出処を知り、叫んで泣き崩れた後に両手で地面をドンドン!と何度も殴る元親。
だが野郎共との繋がりや、殺された事に対しての心内描写が薄かった為に空々しく感じる部分も有る。
そもそもこうして叫んで泣き崩れて地面をドンドン殴るようなキャラだったか甚だ疑問である。
そしてこの時、家康から徳川兵の不始末であり自身の責任だという旨を言われ、元親自身頭にきてるのは
「毛利でもましてや家康、てめえでも無え」とは言っているものの、散々疑って駿府城まで乗り込んできた事の
詫びの言葉は一切無い。
そして家康の元親へ対し己を斬れという台詞は、原作では三成の台詞である。
(原作において三成が己を斬れというのは、四国壊滅の件において元親から真相を聞かされた事による台詞である)
家康は原作において自身の夢=絆で世を治める、そうした際に起こる現実=戦(他者の絆を奪っている)という
矛盾を家康自身十分承知しており、言い訳をせずに自身の進むべき道を進んでいるというキャラクターだったはずである。
夢を現実にする為、自身を信じてくれた者達の為に死ぬ事は出来ないと強く思っている家康のキャラクター性から
兵の責任は自分の責任といっそ軽々しく己を斬れと言うのには非常に違和感が有る。
潔さを演出する為という見方も出来るが、余りにも状況的に違いすぎるシーンの別キャラ台詞から引っ張ってきている為に
全く説得力が無く違和感しか残らないやりとりとなっている。
何より三河武士の影も形も無い葵の旗を金目当てで売って逃げ出そうとする兵、という前提が有るために余計違和感を感じる。
元親の言い分に言い訳や弁明をせずに戦うルートも有るが、ただ斬れといったルートでは決して無い。


+  忍び込む事を前提とする真田幸村
 忍び込む事を前提とする真田幸村
刑部よりお市奪還の話が持ちかけられた際、元来幸村の性格上「徳川が拉致している」と聞いた時点で少なからず怒りを見せそうだが
驚くものの至って冷静に忍び込むという選択肢を取っているのには違和感が有る。

+  唐突に始まる前田慶次の友情論
 唐突に始まる前田慶次の友情論
前回まで慶次と秀吉に関して過去何が有ったかのか、どういう関係だったのかという説明は無い。
にも関わらず原作の1シーンを捩じ込まれた事で、未プレイ視聴者には意味不明だろう展開となっている。
その際「友垣でなくなったあの日」と慶次は発言しているが、原作において秀吉とは違う強さを見つけたい旨、時折秀吉の名前を出す、
秀吉を討った家康に対して憤る、等、道を違えても秀吉の存在は大きいようで、慶次の中では完全に友情が終わっているような発言は無い。

+  「まつねえちゃん」呼びとなる雑賀孫市
 「まつねえちゃん」呼びとなる雑賀孫市
登場時、慶次との会話では「まつ殿」と孫市は発しているが、7話では原作準拠の「まつねえちゃん」となっている。
しかし既に「まつ殿」と呼んでいた事から、非常に違和感が有る呼び方となってしまっている。
「まつ殿」発言回の脚本は高橋ナツコであり、7話「まつねえちゃん」の脚本は渡邊大輔と、脚本家が異なるのが原因だと思われる。
本来原作では「まつねえちゃん」である。

+  警備がザル状態の駿府城
 警備がザル状態の駿府城
先に元親、慶次は訪ねてきたという形だが、冒頭慶次と元親のみの描写で引き画にも二人のみの姿。だが孫市、鶴姫も既に城へ入っており
天海、幸村、佐助、かすがに簡単に城へ入られ、あまつさえ織田軍にも城内へと侵入されている。

+  何故か馬に乗っているかすが
 何故か馬に乗っているかすが
お市奪還後にお市を乗せる馬を余分に一頭連れているという見方も出来るが、かすがが騎乗する意味が有るのかは不明。


+  謎のくノ一(まつ)
 謎のくノ一(まつ)
あらすじでは謎のくノ一と表記されていたが、一見してまつだと分かる様相となっている。
原作ではシリーズ毎に前作までの流れを汲みつつもリセットという形が取られている為、3準拠の今作で幸村がまつと
初対面であると考えれば謎のくノ一の正体を見抜けない事に納得は出来るが、忍である佐助やかすがまでもがまつの
存在を知らない、見抜けないのは如何なものか。

+  理性的な石田三成
 理性的な石田三成
元親が三成へ真偽を問い西軍から抜ける旨を伝えた後「裏切りは、許さないっ!」と元親へ刀を向けるが、元親から
「それともあんたが大切なもんを返してくれんのか」と言われた直後納刀して理性的になっている。
過去回での家康への対応やこの件に関しても、三成の秀吉への妄信的な思いが薄れ、三成のキャラクター性が崩れている。
このシーンの元であろう原作場面においても戦闘後冷静ではあるが、三成のキャラクター性を際立たせる演出がされている。
が、それらのシーンはカットされている為、ただただ理性的な三成、といった違和感の有る描写になってしまっている。

+  目の前で兵が殺されても無反応な真田幸村
 目の前で兵が殺されても無反応な真田幸村
天海によりお市の居場所を聞き出した後に兵を殺されているが、それを見ても無反応な幸村。
情報を聞き出した兵を殺して騒ぎを起こさせないようにする、というのは常套手段では有るが、幸村のキャラクター性から
その行為について何ら反応が無いのは有り得ない事なのではないだろうか。


+  潜入作戦にあるまじき行為の主に無反応な佐助
 潜入作戦にあるまじき行為の主に無反応な佐助
駿府城に潜入中、地下にて風魔が布の端をちらつかせて真田主従を奥へと誘い込むシーンがあるが
この時唐突に大声を上げて追いかけ始めた幸村に佐助は何の迷いもなくついていく。
佐助は忍隊の長であり本来ならこうした幸村の不用心な行動をいさめる冷静さを持っているはずである。

+  お気楽娘になった鶴姫
 お気楽娘になった鶴姫
上階から爆破音、銃声が聞こている筈だが、宵闇の羽の人を探して他国の城内を歩きまわる鶴姫。


+  牢から出てくる天海とまつ
 牢から出てくる天海とまつ
まず幸村と佐助が城内へと潜入し、その際には天海とまつは居ない状態である。だが風魔の陽動により
徳川軍に挟み込まれ退路を無くし、二人は壁と牢に左右を阻まれ逃げ場を無くす。その後徳川軍と幸村佐助の
中間の牢側から天海とまつは現れているのだが、左右は壁と牢で道は徳川軍に阻まれている為、どこから
通って出て来たのか謎の演出となっている。
しかし別シーンに切り替わると何故か天海とまつの横に通路が出来ていたり、又別のシーンになれば
横は牢になっていたりと妙な演出としか言えない状態になっている。

+  消失したまつ
 消失したまつ
天海の目論見が露見した後に橋桁を慶次は切断するが、その橋桁が落ちる直前に慶次がまつを抱える描写がされる。
が、元居た橋桁の下に降りて外へと向かう際には、まつは消失している。
慶次の影で見えないとも取れるが、慶次は両手を振って走っている為、誰も抱えていない状態となりまつは消失という事に。

+  斥候が存在しない各軍
 斥候が存在しない各軍
まず斥候を向かわせる事をせずに自身が乗り込んでいる、又は乗り込もうとしている武将達。
従者を付けずに歩き回る演出といい、各武将達の平和ボケとも思える行動は一国の主、軍の大将としての自覚が欠ける演出と
なってしまっている。結果、原作とのキャラクター性の乖離は深まるばかりである。

+  「約束の地」
 「約束の地」
秀吉の墓前にて三成へ会いに来たという家康が去り際に発した言葉である。
「約束の地」=「関ヶ原」と読み取れるが、アニメ内において過去にて「約束の地」を匂わすような演出や説明は一切無い。
(八話にて過去家康と三成が共闘した際に二人で戦おうという旨の約束をした場所、というのが明かされた)
何より戦を止める様説得しに来たと思われる家康だが、そもそもにして既に家康は全国行脚で同盟の誘いをしてきた後であり
「話を聞いてくれ」と言った後、その話をする前に帰還してしまっている為に家康が何をしに来たのか、何故突然戦を止めようと
言い出したのかが理解し辛く、上記の「約束の地」発言と合わさり謎が深まるばかりとなってしまっている。
※3踏襲のストーリーであると当初小林Pは語っていたが、この“約束の地”に関しては4の関ヶ原ステージ開始前に
東軍ステージ家康
「この約束の地で、ワシとお前が今向き合った」
西軍ステージ三成
「この約束の地で、醜く切り刻んでやるッ!」
という二人の台詞が有るように、3では無く4においての“約束の地”を引っ張ってきた可能性が有る

最終更新:2014年09月28日 15:58