第三話「同盟」

脚本:高橋ナツコ/絵コンテ:川口敬一郎/演出:有江勇樹/作画監督:鈴木美音織

戦国随一の傭兵軍団・雑賀衆。
その力を得る為、石田三成は、雑賀の里へと向かう。
一方の徳川家康もまた、絆の力で日ノ本をまとめることを宣言し、各地の武将との絆を結ぼうと、手始めに雑賀の里へと向かうのだった。
さらに、徳川軍に四国を壊滅させられた長曾我部元親、かつて豊臣秀吉の友であった前田慶次も、家康を追い、雑賀の里へ……。
その頃、奥州で意識が戻った伊達政宗と、武田信玄を失った真田幸村は、失意の中であえいでいた。二人の行く末やいかに…?!
(アニメ公式サイトより引用)


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※このページでは検証目的で「戦国BASARA Judge End」(テレコム・アニメーションフィルム制作)の映像を一部引用しています。
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・以下アニメの疑問点を紹介


+  病床に伏せる武田信玄
 病床に伏せる武田信玄
意識不明の状態で床に伏せている武田信玄だが、寝所が木戸しか無い上に開け放した状態になっている。
一話の竹中半兵衛と同じ様に、かいまきでは無く普通の掛け布団がかけられている状態。
原作でキャラクターが寝るときは史実通りかいまきを使用している。
掻巻=袖のついた着物状の寝具


+  単独行動する鶴姫
 単独行動する鶴姫
雑賀荘を目指す鶴姫だが、周囲に従者はおらず完全に一人で行動している。
鶴姫は「伊予河野の隠し巫女」として大切に育てられた箱入り娘であり、たった一人で遠出する事はありえない。

+  背部のバーニアを使わず空を飛ぶ忠勝
 背部のバーニアを使わず空を飛ぶ忠勝
忠勝が空を飛ぶには背部のバーニアを噴かす必要があるのだが、足からうっすら空気のようなものを噴き出す程度で空を飛んでしまっている。
本来ならばかなりの速度で飛行可能なのだが、上記の理由の為か飛行速度が遅すぎる。
加えて下降着陸時は風すら巻き起こさない状態でゆっくりと降りてきている。動力は謎である。



+  家康を見つけても普通に歩いている石田三成
 家康を見つけても普通に歩いている石田三成
ゲームにおける秀吉没後の石田三成は、家康への憎しみのみに生きており、
制作側に「三成は家康以外に意識を向けるとキャラがブレる。だから政宗の名前を覚えないことにした」と言わしめるほどである。
ゲームの三成は家康を見つければ状況を問わず家康に突進する。
このアニメのように冷静にスタスタ歩き他のことをしているなど、あり得ない行動である。

+  家康と北条が、二言三言会話しただけで同盟する
 家康と北条が、二言三言会話しただけで同盟する
(家康、忠勝と共に氏政の元へ)
氏「な、何ぢゃ……この年寄りを未だ虐めるのか」
家「ワシはかつては敵であったが、今は味方だ」
氏「み、味方……?」
家「良く生きておられた、北条殿。どうかワシら徳川に力を貸して頂きたい」
氏「と、徳川の……」
その後家康は氏政に背を向けて歩き出している為、これ以上の会話は無いと推測出来る。
お互い国主であるにも関わらず、口約束のような形で同盟を結ぶのは国の命運を握る者として短慮な行動ではないだろうか。

+  天下を目指している石田三成
 天下を目指している石田三成
他キャラの状況説明によると、石田三成は「秀吉の遺志を継ぎ、力によって天下を治めようとしている」らしい。
ゲームの石田三成は天下などどうでもいいと言い切り、ただひたすらに家康への復讐のみを目指して戦禍を起こしている。
秀吉の後継者を名乗りながらその遺志を理解していないことについて、伊達政宗に糾弾されるやりとりもある。
その破滅的な生き様が個性であり魅力でもあったはずだが、天下への夢を放棄したことになった伊達政宗とは逆に
天下を目指していることになっており、こうした入れ替えが何故起こったのかは不明である。

+  勝手に加賀の国を担保にする慶次
 勝手に加賀の国を担保にする慶次
拐われたまつを探す為に雑賀荘を訪れた慶次だが、勝手に加賀の国を担保とする形で契約を結んでしまう。
当然ながら加賀は前田利家の統べる地であり、甥である慶次の独断で決めていいことではない。

+  国主としての自覚ゼロな伊達政宗
 国主としての自覚ゼロな伊達政宗
小田原から敗走し奥州で目を覚ますまで、昏睡する政宗はキラキラエフェクト付きの真田幸村と戦う夢を見ており、
その楽しい夢に石田三成が現れ悪夢に変わるという演出がなされていた。
国主として軍を動かし戦い(第1話の伊達軍は途中で消失したが)天下獲りの戦に敗れたというのに、
敗北して夢に見るのが天下への夢でも部下や領民への想いでもなく、なぜかひたすら真田幸村との個人戦であった。
伊達政宗と真田幸村とのライバル関係はゲームにおいても重要な要素であるが、国を背負う責任感や
天下への想いが強い政宗のキャラクター性から考えると、状況に似つかわしくなく疑問が残る演出である。
その後目を覚まして以降も、そうした背負うものたちへの配慮は一切描写されていない。

+  錯乱し小十郎と部下に斬りかかる伊達政宗
 錯乱し小十郎と部下に斬りかかる伊達政宗
悪夢から目覚めた政宗は錯乱し、なぜか布団の傍に丁度置かれていた刀をとって小十郎に斬りつけ、
その後も部下達に向かって刀を振り回しひとしきり暴れていた。
まるで狂人のような錯乱状態であったが、ゲームの政宗は例え片倉小十郎を惨殺されても理性を失わないような人物である。
そうした理性的な面や、部下想い、部下の前では弱みを見せない、といったキャラクター性を全て覆すような描写であり、
ゲームやIG版アニメの政宗像からはおよそ考えられないその姿は、ファンに大きなショックを与えることとなった。
原作における該当場面は、小十郎の「多くを背負うあなたを今一度支えさせて欲しいという誓いに導かれるように」
(戦国BASARA3宴台本集より)静かに目を開けた場面であり、
私怨以外は何も背負っていなそうな政宗が叫びながら部下に斬りつけて暴れるという顛末は、
原作ファンにとっては落差の激しい改変であったといえる。そして、やはりかいまきではなく布団が使用されている。
(ちなみに、錯乱して部下に斬りつけるというのは「戦国BASARA4」における石田三成の行動である)

錯乱し小十郎へ刀を向ける 刀を振り回す伊達政宗

+  錯乱する主君を棒立ちで遠巻きに眺める片倉小十郎
 錯乱する主君を棒立ちで遠巻きに眺める片倉小十郎
原作ゲームの小十郎は、従者であるだけでなく政宗の父であり兄であり友であるとも評され、
政宗を諌めるため、刀を手で掴んだり、場合によっては主君相手に斬り合ったりと
手段を選ばず体を張ってぶつかっていくキャラクターである。
あんな状態の政宗を棒立ちで遠巻きに眺めているなど、到底あり得ない行動である。

錯乱し刀を振り回している主君を遠巻きに眺めるのみ
下記項目時も(「取り押さえろ!」発言)遠巻きに眺めるのみ

+  錯乱する政宗を「取り押さえろ!」と部下に命じる小十郎
 錯乱する政宗を「取り押さえろ!」と部下に命じる小十郎
小十郎のキャラクター性以前に、侵入者か賊に対して使うような表現であり、
一般的な従者の主君に対する言葉遣いとして、まずあり得ないものである。
ゲームの小十郎であれば部下に命じず自分で押さえようとするだろうが、仮に命じるとしても
「お止めしろ!」「お諌めしろ!」等の表現が妥当ではないかと考えられる。

+  家康に「アンタがこの世の中心か?」と噛みつく伊達政宗
 家康に「アンタがこの世の中心か?」と噛みつく伊達政宗
これも下記の台詞同様、原作ゲームでは石田三成の台詞である。
ゲームにおいては家康を信頼し同盟を結んだ伊達政宗に、何故この台詞を言わせたのかは不明である。

+  「天下なんぞ欲しい奴にくれてやる!」
 「天下なんぞ欲しい奴にくれてやる!」
同盟を求めて訪れた家康に、政宗が放った衝撃の一言。
ゲーム一作目から一貫して天下統一を目指している政宗として最もあり得ない台詞。
民の為、戦なき世にする為に天下を目指すというのが政宗の重要なアイデンティティだった。
「戦国BASARA3」においても石田三成への復讐について
「天下獲りの前のリベンジ」と称しており、天下への思いがブレたことはない。
ちなみにゲームにおいては、この台詞は石田三成の台詞であり、天下に興味の無いはずの三成は逆に天下を目指そうとしている。何故このような設定の入れ換えが行われたのかは不明。

+  「(石田三成を)ぶっ殺す」と吠える政宗
 「(石田三成を)ぶっ殺す」と吠える政宗
ゲームの伊達政宗は、一見荒っぽい言動をする部類のキャラに見えるが、
実は婉曲な台詞まわしが特徴的であり、こうした直球の表現は絶対に使わないキャラである。
頭に血が上っていた状態で仇である石田三成に対しても、「アンタを潰す」と言うのがせいぜいであった。
(「ぶっ殺す」は‘極殺状態’になった時の小十郎の台詞であるが、何故政宗に言わせたのかは不明である)

+  家康の話も聞かずに食ってかかる政宗
 家康の話も聞かずに食ってかかる政宗
ゲームの伊達政宗は誰かれかまわず噛みつくようなキャラではない。
挑発的な言動は多いが筋を通すタイプであり、人の言うことはまず一度受け止める。
原作ゲームで敗北スタートとなった時点においても、頭に血が上りつつも
どこか自分をも俯瞰しているようなシニカルな物言いが主であった。
本作アニメにおける政宗のキレ芸ぶりは彼の圧倒的小物感を醸し出すことに大きな役割を果たしており
原作のカリスマ性のあるキャラ像とは乖離の激しいものとなっている。

+  政宗を見限る(?)家康
 政宗を見限る(?)家康
伊達軍とも同盟を結びに来た家康だったが、冷静さを欠き三成への怒りを露にする政宗を見て
軽く目を見開いた後、あっさりと引き下がり退散した。
原作ならば同盟を結ぶ為に大軍を動員し奥州を包囲するなど、家康は伊達軍との同盟を切望していたはずである。
しかし、家康があまりにも簡単に引き下がる為
「国主らしからぬ政宗に失望し伊達軍を見限った」
とも捉えられる表現となっており、家康と伊達軍の関係性が原作から大きく変わってしまっている。

最終更新:2014年08月20日 04:55