「マジカルスキャナ」とは、断面映像を表示する「CTスキャナ」・温度分布を表示する「サーモグラフィ」・表面や内部を接写した「ファイバースコープ」など、高性能の機械を使って「ある物体」を解析した映像を見てその物体は何かを当てるクイズ。ハイテク、コンピューターといったデジタルな当時の番組全体の世界観を一番反映したクイズともいえる。また、番組内で最初に「早押し」という形を採用したのもこの「マジカルスキャナ」である。
第2回放送より登場。書き問題・通常の早押しクイズ・恐怖の居残り早押しクイズと解答スタイルやクイズそのもののモデルチェンジが何度かあったりしたもののおよそ4年間続いた。書き問題では答えが1つに限定されることから、唯一「発想で」マジカル君の答えを超えられないコーナーとして、居残り早押しクイズでは、言葉や文字を使ったクイズが多い中、数少ないビジュアルだけで当てるコーナーとして他のクイズとは毛色の違う特殊な存在のクイズでもあった。
1994年4月からは「マジカルアナライザー」とタイトルを変え、新たに物体の重さのデータ+オシロスコープによる物体から出る音のヒントで、目で見るビジュアルだけでなく「耳(聴覚)」の要素も加わりリニューアルされた。
このクイズで分析に使われた機械は以下の6種類。パネラーは、これらから撮影された映像と具体的な解析結果のナレーションをヒントに分析された物体は何であるかを当てる。
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ハイテク機器で正解そのものズバリを映しているのにそう簡単に当てられないのがこのクイズの面白いところ。サーモグラフィでの表面温度が何℃といった数値のデータなどから読み取る「分析力」、CTスキャナの断面映像のヒントをもとに物体の輪郭、3Dデジタイザーによる立体イメージ映像などから物体の形状をつかむ「想像力」、顕微鏡カメラ・ファイバースコープでの物体の一部が拡大された映像をよく見てそのものの特徴をつかむ「観察力」など、さまざまな視点から答えを導くために頭を働かせなければならず、マジカルのクイズの中でも難易度の高いクイズといえる。
書き問題時代は毎回1問、CTスキャナ・サーモグラフィ・ファイバースコープの3つの機械からそれぞれ1回ずつ分析された映像をもとに物体を当てる形式で、全部で21回出題された。
1人正解 | 2人正解 | 3人正解 | 4人正解 | 5人正解 | 全員不正解 |
7回 | 8回 | 4回 | 1回 | 0回 | 1回 |
書き問題形式でのマジカルスキャナの全体正解率(正解者延べ人数/パネラー延べ人数)は37.1%。1問あたりの正解者の数は5人中2人正解のケースが最も多く、全員正解は1回もなかった。この時代は所ジョージさんの正解率は特に高く、初登場した第2回放送から9週連続正解。出演した19回の放送のうち15回正解している(正解率78.9%)。
頭脳指数100 | 頭脳指数120 | 頭脳指数130 | 頭脳指数140 | 頭脳指数150 | 頭脳指数160 |
3問 | 4問 | 2問 | 2問 | 8問 | 2問 |
その21問の設定された頭脳指数の平均は135.2。頭脳指数が100より高いと難しい問題とされるので、頭脳指数150の問題が飛び抜けて多いことからも難易度は高め。頭脳指数100未満での出題は1問もなかった。・・・
書き問題時代、答え(正解)に幅のある他の問題と違い、このクイズは答えが1つに限定されるので、マジカル君の答えを超える発想の別解を出してボーナス点を獲得することができなかった。そのため物体の産地や特徴などより具体的に細かい部分まで指摘した上で正解するとボーナス点がもらえるという形をとっていた。
(例:「ふぐ」が正解の場合、「下関産(産地を特定)のトラフグ(フグの種類まで指摘)」といった具合に解答。それが正しければボーナス加算となる。)
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第50回・1992年7月4日放送~第65回・1993年1月16日放送まで「イラツキ早押しマジカルスキャナ」というタイトルで、パネラーの誰かが早押しボタンを押すと、ルーレットのように1席ずつ点灯する動きを繰り返すパネラー席のランプが、押した人を含めまだ正解していないパネラーの中から1人の席のところで止まり、最終的に止まったパネラーに解答権が与えられるという、問題自体はそのままに解答システムを変えたルールで行われた。
答えがわかったパネラーがボタンを押しているのになかなか解答権が得られなかったり、答えがわからず押していなかったパネラーが、他のパネラーが押した結果、たまたま自分に解答権が来てカンで答えてみたら正解してしまったといった一般的な早押しクイズでは見られない、「誰よりも早くボタンを押せばその人に解答権が与えられる」という早押しの当たり前のルールを覆す新しい形の早押しスタイルを生み出した・・・
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本来、CTスキャナは人体の臓器の形や患部などの撮影に用い、サーモグラフィは手足の血流の低下などの診断の際に人体の表面温度分布を測定する時に用いるなど医療の現場で使われる器具である。
このような健康診断・人間ドックなどで使う機器で「人体」を調べるという当たり前のことを、「物体」でやってみるとどうなるかというユニークなアイデアのもとに生まれたと思われるこのクイズ。・・・