ここでは、グランクレスト(飛龍GM)のあらすじを、手記形式で紹介します。


第0話:運命の邂逅

9月×日
今日は、建国の式典ということで皆浮かれていた。
無理もない。領民は、以前はザジャブの統治の下、生きるのにも必死だったはずだ。
数日前、私とリズ-リーゼロッテはアカデミーの命で。カインとナハトは旅の途中に。それぞれザジャブ領に入った。
ザジャブ領は、村の中でも混沌が収束する有様。
ロード・ザジャブはカサンドラとかいうメイジに渡されたアーティファクトで死人兵を使い、圧政を敷いていた。
それを憂いたカインは、リーゼロッテ、ナハト、そして私-ドラクルを味方につけ、圧政から領民を救うことにした。
ナハトが隠密しながら連絡役となり、ザジャブの城に夜襲をかける算段までいくのに、そう時間はかからなかった。
バルゴンにゲッサムという邪紋使いを倒し、ザジャブの死人兵に苦戦するも
カインの、リーゼロッテを庇うという咄嗟の判断。
ナハトの、隠密を敢えて解除し注意を惹きつける機転。
リーゼロッテの、カインを復帰させた魔法。
皆が一丸となった結果、なんとかザジャブを捕らえることができた。
カインはザジャブ領の新しいロードとなり、領地も名を「アンダンテ国」と改めた。
今日は宴。疲労感が心地いい。
ここいらで、今日の手記を終えることにする。

ドラクル


第1話:聖印に懸けた誓い

9月×日
大胆不敵とはよく言ったものである。
カインは敵陣に単身で乗り込み、敵国の王と問答をして無事帰還すると言う、前代未聞の行動をやってのけた。
周辺諸国から「アンダンテの無血会談」「カインの聖印問答」などと呼ばれるこの事件の発端は、数日前。
カインの噂を聞きつけた遠方のロード、セシル2世がアンダンテ国に使者ティヌスと兵を遣わしたことから始まる。
ティヌスを保護し、あまつさえ敵陣地まで送り届けるという行為に、相手は逆に一目置いたらしい。
最悪の事態に備えて、戦の準備をする私たちだったが、ナハトの提案でカインはなんと単騎で敵陣に『話し合い』に行った。
これにも一目置いたセシル2世は、応じるように少数でカインを迎え、『君主として望むもの』について話した。
結果、驚くことにセシル2世は兵を引き上げ、カインをロードとして認めたという。
結果は上手く行ったが、綱渡りであることに変わりはない。
その辺をカインが理解することを祈りつつ、今日の手記を終える。


ドラクル


外伝:Happy Life!
10月×日
カインとリズの話が終わったらしいので、こうして机に向かうことにする。
先日、野盗が貿易ルート上に出るとのことで私たちは野盗を討伐するため出発した。
…訂正しよう。カインはこの時も、話し合いで解決しようとしていた。まあ実際そうなったわけだが。
野盗が出る付近の地点には、なんとティヌスやクレシェンドのメイジ、アーティストも居た。
ここで野盗が…バルゴンとゲッサムが飛び出してきたから、話はとてもややこしくなった。
最終的にバルゴンとゲッサムはアンダンテに身を置くことになり、ティヌスたちクレシェンドの面々とも戦わずに別れることになった。
村に帰るまで、リズの様子がおかしかったのが気にかかったが…。カインに話があることに関係しているのだろう。
推察はできるが、暴くのも、ここに書き記すのも無粋と判断し、ここにペンを置く。


ドラクル


外伝:タイトルなし
11月×日
アンダンテ国に新たな仲間が増えた。
アンデッドのイム・イピィ。外見こそ典型的なアンデッドだが、慣れてしまえばユニークな思考の好人物だ。
彼がアンダンテに来た直後に、投影体が出現し私たちは部隊を向けた。
初陣ではないにしろ、戦闘に不慣れな兵たちをイムに任せるのは不安だった。が、終わってみれば損害は軽微。
イムの手際の賜物と、ここには記しておこう。
気になるのは、ナハトがカインに投げかけた問くらいのものか。
『雇うってどういうこと?』と彼女は言った。
以前から感じてはいたが、彼女は彼女なりの観点でカインに従っているのだろう。
イムの登場は、二人の信頼に一石を投じるものだったのだろうか?
…邪推はいくらでもできるが、未だ断ずるには早い。
今日の手記はここで終える。

追記:噂では、クレシェンド国に新しい邪紋使いが雇われたらしい。
また、セシル公もフラッグを手に入れたという話である。
噂の域を出ないが、ナハトに知らせる必要はあるだろう。


ドラクル


第2話:君主の在り方
1月×日
この手帳に不躾に続きを書くこと、まずはお許し下さい。
ですが、この手帳にはアンダンテのこれまでが綴られている。それを途切れさせたくないのです。
今回の件の始まりは、私の父ヴィルヘルム王が、妻…私の母エノア王妃を失ったことでした。
悲しみから父は、闇魔法師カサンドラに『死者を蘇らせる術がある』とそそのかされ、領地を魔境になるまで放置したのです。
私は城を抜け出し、隣国であるカインの元に助けを求めました。カインはそれを快諾しましたが…ドラクルは、村へ残った。
そう、残ったのです。
いざ父の領地、シュレンベルク国に入ると、そこに居たのはロード・セシルたちクレシェンド国の軍勢でした。
ありがたいことに、国交のあったクレシェンドは、シュレンベルクの魔境化を聞いて兵を出したのです。
果たして、カサンドラの呼び出したドラゴン。そして…悪魔エウリノームへと変わり果てた父を倒した私たちでしたが。
事はこれでは終わらなかったのです。シュレンベルクの魔境すら囮にして、カサンドラたちの結社『パンドラ』は、アンダンテを強襲。
牢に入れられていたロード・ザジャブを誘拐し、あまつさえドラクルを亡きものにしたのです。
…今日は葬儀。復興もほどほどに、皆がドラクルの死を悼んでいました。
ドラクルはどんな人物だったのでしょう?きっと暖かく強い、護国の将軍であったに相違ありません。
現に、怪我人も死人も、ドラクルを除いてはいなかったのです。
いつか、なれるでしょうか。私も、新しい居場所を守る護国の騎士に…

イリーナ・シュレンベルク
最終更新:2016年01月29日 21:15