「そういうの、いい加減、飽いているわよ……とうの数十世紀前(むかし)にね。」


「ぐずぐずと甘ったれてんじゃないよ。
 産まれてきた意味? 生きていく意味? そんなもの、ハナから体よく用意されているわけないって分からない?

 人は、命は、ただ産まれて、死んで逝くのよ。
 そのこと自体に、大した意味はない。ただ単に、そういう決まり事。そういうシステム。それだけよ。

 だから……。
 そういうのは、あなたが自分で定めるの。
 自分が産まれてきた意味を。自分が生きていく意味を。そして、自分が最後に死ぬ、その意味を。

 だって、そうじゃなきゃ、まるで筋が通らないじゃない。
 あなたの命は、産んだ母親のものでも、仕込んだ父親のものでも、赤の他人のものでもない。まして、いるかどうかも証明(わか)らないような、神様とやらのものでもね。
 この世にたった一人しかいない、あなただけのものなのだから。

 産まれてこなければよかった、なんて。
 生きていく価値がない、なんて。

 良い歳して、まるで思春期こじらせてるガキじみたこと言ってんじゃないわよ―――そんなわけ、ないでしょう?」


「返してもらうわ、アタシの親友を。
 彼女の命を、彼女の心を、彼女の愛を―――。
 アンタたちみたいな、他人のことを自分を気持ち良く(・・・・・)してくれる道具としか見れないクソ野郎共の慰みものには、絶対させない。」



おやおや? 何やら随分と、人間らしくなったようじゃないか。



Eadem mutata resurgo.
最終更新:2017年02月07日 13:17