カチューシャ/Катюша
「皆さん、ズドラーストヴィチェ(初めまして)!
ロシアからやって来ました、カチューシャです! どうぞよろしくお願いします! あ、キャラ作ってません☆」
「この決めポーズはですね、自分で考えたんですよお!
日曜朝にやってるアニメあるじゃないですか、女の子が変身して悪者と戦うシリーズもの!
あれにスッゴいハマっててー! 年甲斐もなく変身セット買っちゃいましたもん~! ……あれ、何かワタシ、変なこと言いました?」
「そこ! うわキツ禁止!
年齢詐称とかキャラ設定とか、本当にヒドいと思います!
あんまりイジめすぎると、シベリア送りにしちゃいますからね! ウォッカぐらいなら差し入れしてあげます!」
「あ~あ……、ついに知っちゃいましたね? ワタシのひ・み・つ☆」
「よくも吼えたな、目障りな日本人(くろばえ)が。
貴様のような、己の身の程も知らずに大言をのたまう”青二才”という生き物が、私は最も苛々させられるのだ。」
「――――定刻だ。貴様の寿命、ここで私がその残量を一切刈り取ってくれる。死神(Смерть)の名に相応しくな」
「お前達が寿ぐ勝利(победа)から二文字を剥ぎ取って、至上の災難(беда)へと変えてやる。
その為の車輪(われわれ)だ。その為の死神(われわれ)だ。
ただ今から、幸福などという生温い温度を二度と味わえぬ、皮膚をも張り裂く寒々しい地獄へと招待(つきおと)してやろう。
来世では喧嘩を売る相手を間違えぬことだ。
嗚呼、この国の言葉で分かりやすく言うなら……”詰んだ”のだよ、貴様等は。」
「エカテリーナはやめてくれ。
この国に、せめてこの学舎に籍を置いている間は―――ただの少女(カチューシャ)でいたいのだ。」
愛の下に殉死を選ぶ聖女とは、さてもさても、随分な高望みをしたものだ。
果たして、思い焦がれる意中の〝彼〟は、汝の五体を軛(くび)る苦役の車輪を破砕(くだ)いてくれるかな?
サマショール(Самосёлы)
最終更新:2017年02月06日 13:14