シミュレーションセンターでの医療機器開発

  • 安倍内閣が提唱する日本再興戦略の最重要事項の一つとして健康・医療戦略が掲げられている。
  • 特に医療機器などを成長産業化するためには、技術系企業と臨床医療機関の密接な協力が欠かせない。
  • このためには、研究開発に従事する人材による実臨床の場での従事を可能にする環境を整備することも急務である。これは例えば医師や看護師が臨床業務と研究業務を無理なく両立できるようにするだけでなく、技術者が臨床現場に入れるようにする体制も含む。
  • 日本が世界に誇る優れた科学・工学技術を医療に活かすため、臨床医療機関が主体となって患者の利益と権利を守る確固とした体制を構築し、臨床現場の理解を深めるべく異業種の技術者など非医療従事者を積極的に招き入れるべきである。
  • こうした活動の窓口としてシミュレーションセンターが適している。

クリニカルイマージョン事業

  • 医療現場や臨床の事情を全く知らない人が、医療機器の開発を任されているのが現状。
  • 医療技術の開発に従事する人材が、実際の臨床現場を見学し、前線で働く医療従事者と情報交換できる機会を与える。
  • イマージョンとは要は技術者のための臨床現場実習である
    • 現場と技術者の密接なつながりがあってこそ、優れた医療機器を開発することができる。
  • 文字通り現場に「浸って」もらい、理解を深める
    • 後には共同開発に発展させ、企業と合同で科研費等を申請
    • 医学生の見学枠と競合?
  • 事前に現場の御作法を学んでいただく必要がある
    • 医療倫理・研究倫理(患者の権利)
    • 個人情報保護(守秘義務等)
    • 清潔操作・手指衛生など
  • 非医療従事者(技術開発の実習生)であることを示すユニフォームを採用?
    • 医学生・看護学生(医療従事者の実習生)と区別?
    • 東北大ではライトグリーンのスクラブを採用している【東北大学バイオデザイン部門】

​共同開発のトラブル

  • 知財
    • 発明は誰のもの?技術者?実習先の医師?会社?病院?複数の場合、その配分は?
    • 職務発明規程で自動的に病院のものになってしまう可能性あり。
    • 「アイデア」そのものには思ったほど価値はない。
      • 「それは俺のアイデアだから」売り上げを半分くれ…というのは不条理。アイデアを実際に商品にするまでには多大のコストがかかり、発案者に還元できるのは正味売上高のせいぜい1%程度である。
      • より多くの取り分を欲しいなら、開発の過程に積極的に参加し、具体的な貢献をする必要がある。
    • 特許そのものは儲からない(逆に、申請や維持に費用がかかる)
      • 都市伝説:特許さえ持っていれば自動的に儲かる
      • 特許とは排他的支配権。つまり、自分以外が儲けられないようにできる権利であり、自分の儲けを保証するものではない。
  • 不適切・悪質と思われる共同開発依頼への対応
    • 医学的・科学的根拠に乏しいもの(ハンドパワー的な)
    • 明らかに開発体制や能力に欠けるもの(個人の発明家)
    • 公益性がないもの(特定個人のための装具など)
    • 施設において関心がないもの(一定期間の募集を行っても協力者が現れない)
  • 事業の失敗に関する申し立て
    • 医療機器開発にリスクはつきもの。統計的に8-9割のプロジェクトは成功しない。
    • 「○○先生と組んで開発に一億円投じたが失敗した…」
      • シミュレーションセンターが行うのは開発の支援であり、開発の代行や成功の保証ではない。失敗の補償も行えない。
      • 失敗時の金銭的リスクは企業に負ってもらうかわりに、シミュレーションセンターは知財権などをほぼ無償で企業に譲渡すべきと考える。

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最終更新:2014年12月11日 11:12